小さな違憲判決

税法の遡及適用は違憲、福岡地裁が住宅売却損の控除認める

税法の遡及適用は違憲、福岡地裁が住宅売却損の控除認める(読売新聞) - Yahoo!ニュース

この改正については全く記憶がない。ノーケアで上記記事のみがソースだが、第一印象として、不利益を遡及させちゃダメだろ、という感じだ。ガソリン暫定税率でにわかに脚光を浴びている(?)租税特別措置法だが、
「法改正要旨が報道されたのは遡及適用のわずか2週間前。国民に周知されていたといえない」
とあるように、通則法の定める20日という周知期間もないようだ。ここで、この改正法の経緯を調べることはできないが、当該改正法は16年3月31日法律14号と思われるから、多分、国会の期末ギリギリに成立して即日施行となったものだろう。これではダメだ。

法学の講義のネタにはちょうど良いが、当事者にとってはこんな不幸はない。人の不幸をめしの種にするような、そんな人間にはなりたくないから、私もせめて「違憲」説を基本に据えよう

まだオーディオ機器を作る

センター試験、始めて監督した。前任校では独自試験だけだったので、自分が共通一次を受けて以来、20数年ぶりの、お上の試験。幸い天候にも恵まれ、トラブルなく終了して一安心。受験生諸君、栄光までもう一息!。



昨年の11月半ば過ぎ、どこぞから貰った風邪が居着いてしまい、咳が止まらなくなった。ちょっと楽しみにしていた小さなコンサートがあったのだが、途中で咳き込んだらマズイので諦め、講義のない数日間、自宅に引きこもらざるをえなくなった。

そういう時に限って、算段しておいた用事は風のように片付き、ド派手な着流しに落し差しで旅に出たいくらい退屈する(←どういう例えだ、一体)。ただこの時は、悪徳商人やどこかの代官を切りに行くより面白いパーツセットがあったので、ちょいとやっつけることにした。ネットオークションで販売している「ノンオーバーサンプリングDAC」。基板とパーツ、完成品のインターフェイス基板、それに使いやすそうな電源基板も一緒に買っておいた。

一度、普通に組み立ててみたが、何故か動作しない。電圧を計ってみると、どうやら所定の電圧が出ていない。外部から5Vと12Vを入れてやると動くから、レギュレータ部分にミスがありそうだが、どう考えても分からない。そこで、原因究明のため、レギュレータとDACを分け、ユニバーサル基板で組んでみることに。

結局、回路図を参考にして、ちょっと大きなユニバーサル基板一枚にパーツを展開し、動作する状態まで持っていった。電源も作り、いつぞや、ついでに買っておいた小さなトランスに繋いで更にテストを重ね、ノイズなど無いことを確認する。

先日組み上げたキット屋さんのDACの近辺で、真空管アンプに繋いで音を聞いてみる(間違いなく危ないので、良い子はまねをしてはいけません。こんなことをするのは世を儚んだおじさんだけです)。ノンオーバーサンプリング(詳しいことは詳しいサイトを探していただきたい)だから、かなら強力な(?)波形が出力されるはずだが、真空管アンプとは相性がいいらしく、輪郭のくっきりした「元気のいい」音が飛び出してくる。

パソコンの裏からデジタル出力を取り出し、アイソ、NOSDAC、6BM8シングルアンプと繋いでみると、またしてもいい音が。パソコンのケースの中はノイズの嵐だが、デジタルで取り出し、アイソレータで必要な波形のみを抽出、オーバーサンプリングなしで(「手を加えず」くらいの意味)でアナログ化し、音質の優れた真空管アンプに入れてやると、パソコンのCDドライブが立派なCDトランスポートになる。音楽再生の時は、ドライブの回転数を下げ、音楽を聴く環境を整備する。パソコンデスクの棚には、こんなSPを乗せてみた。重低音を望まない書斎にちょうどいい音質をもったウッドコーンのフルレンジ。

一通りの実験が成功し、満足して撤収。ケースを買ってくるまで、各基板は揃って段ボール箱で休むことに。調子がいいから、メインシステム用に、残しておいたアイソレータ2号も、ちょっと高級なパーツを使って組み立てておいた。

これもケースを買ってこなくては。空芯トランスがノイズの源にならないとも限らないし、むき出しは危ないし・・・。

真空管をいじり始めたら、デジタルも面白くなってしまった。奥が深い・・・。

経済が、一流?

<大田経財相>もはや「経済一流」ではない 国会冒頭演説で
経済担当閣僚から、国会の冒頭でこんな発言が出たそうな。

サブプライム問題、世界同時株安、円高、原油高。過去半年の世界の、そして日本の経済情勢を言い表す縁起の悪い言葉は、枚挙に遑がない。言って詮ないことだが、太平洋の向こう側の国では、
景気対策は効果大きい=米FRB議長、民主有力議員に表明
緊急景気対策、1000億ドル規模で調整へ=米大統領、議会幹部が協議
減税実施で合意=米緊急景気対策−ブッシュ大統領と議会
(記事は総てYahoo!ニュースから)

大幅な減税、利下げ、そして大規模な財政出動。既に十二分に後手に回っているとはいえ、これを極めて短期間にやってのけようとしている。私は歴史系の研究者として、我が国の要路者からこんな発言を聞いたことがない。聞いたことがあるはずがない。過去の不景気、恐慌の数々は総て、自然の回復力で立ち直ってきている。政策めいたものは総て場当たりで、効果的な対策が立案、実行された歴史がないのだ。
 ただ、対策の中身については、戻し減税を中心とすることでは一致しているものの、「減税は実際には全額が消費に回らない」(シューマー議員)として、民主党側は「確実に支出される」(同議員)政府公共投資の盛り込みを求めている。これに対し、共和党側からは「1990年代の日本のような効果のない対策になる恐れ」(イングリッシュ下院議員)と難色を示す声も出ている。
随分痛いことを仰しゃいますな、共和党どの。

実勢の国富を遥かに超える仮想の「富」を信じて狂奔した時代はあった。それより前、国民の不断の努力が、実感として戻ってきた時代もあった。それらは金の動きが活発だった、景気が良かった、というだけのことであって、「経済」が一流だったことはないのではないか。

ここでなお、抜本的景気対策を考えず、局部的なガソリンを火種にしようというのだから、「エコノミー」を知らぬ永田町には、つける薬はなさそうだ。となれば「経世済民」など、知る筈もないか。

お手入れ

年末、PCの電源を抜いておいたら、研究室のマシンの設定が飛んでしまった。2年以上前、Athlon64の価格がこなれたところを見はからって組んだマシンだが、First Boot DeviceがIDE優先になっているらしく、BIOSでSATA優先に指定しないと起動できないようだ。一度設定を直しても、電源コンセントを抜くとまた飛ぶから、CMOSのデータ保持用バッテリがなくなったのだろう。

パソコン関連の本、物品はまだ段ボール箱で眠っているが(決して度を超えた不精者だからではない)、奇跡的にマザーボードの取説だけが出ていたので、使われている電池の型番を調べると、どこにでもある2032と判明。調達は最寄りのコンビニでOK。そして今朝、新しいボタン銀電池を装着すべく、この大学に着任して初めて、パソコンのケースを開いた。

適当な道具がないが、どってことのない交換作業だから、ボールペンで古い電池を押さえている爪をリリースし、数分で作業終了。折角だから、ファンの周辺に溜まったホコリを掃除して、ケースを閉じた。電池を押える爪の辺りが少々固く、「やりにくいなぁ」と思ったところでふと気がついた。

私はこれまで一体何台のマシンを組み立て、所有してきたか分からないが、マザーの電池交換は生まれて初めてだ。電池は、経年変化で劣化するし、電源を抜いていればメモリ保持のため放電してしまう。が、これまで一度も経験がない。ということは、すなわち、今回のように2年以上同じマシンを使ったことがない、という点に帰着しそうだ。意識したわけではないが、電池が切れるより前に必ずマシンを組み替えていたのか・・・・。こんな場面で(も)、地球環境を敵にまわし続けていると、どこかで罰が当たりそうだ。

今日で講義終了。さぁ、本気でトップシーズン突入。

トップシーズン到来

大学という社会が一番忙しい季節になった。各種試験と準備、付随する会議など、これから数週間は息つく暇もない。とまでは行かないが、とにかく忙しい。同僚諸氏に比して随分楽をさせてもらっている私ですら忙しいと感じるのだから、学部学科の中核として頑張っていらっしゃる諸賢のご苦労や、いかばかりかと拝察。

普段は、「今日できることは明日でもできる」とばかりに用務の平準化(?)に励む私だが、現任校で初めて迎えるトップシーズンということでいささか緊張気味。久し振りに前倒しで用務を処理し始めた。直近の成績評価に向けて、本学の作法に従い、作業を最大限効率化するための準備作業。どうしても「手動」でなければできない特定の作業を迅速に処理するため、周辺の細々したことを手元のPCで総て処理してしまい、必要なデータを待って一気に出力する算段だが、はたして巧くいくかどうか。

などと威勢のいいことを書いても、実はもうへとへと。このところ心身ともにしんどいことが続き、やせ我慢&高楊枝がいつまでもつか、ちょっと不安・・・。個人営業の文系はこういうときに辛い。

オーディオ機器を作る 又々

今日から「怒濤の一月」が始まった。途端に、年内の積み残しの処理や細かいミスの後始末がドッと押し寄せ、返す刀の連続会議でもう青息吐息。帰宅後、音の出る暖房機から流れる音楽にひたるのが、唯一にして最高の楽しみ。

で、自作オーディオシリーズのちょっと番外編。

キット屋さんのModel2は、噂に違わぬ高音質だったが、愛用のCDP、CD-α717DRも決して負けてはいない。内蔵の1bitDACは一五年以上経っても音の透明感に衰えはない。「どちらの音が良いか」という贅沢な悩みににやけていると、ネットで「アイソレータ」というデジタルフィルタ(のようなもの)を見つけた。デジタルの1と0という信号をアナログノイズから切り離す回路で、まぁ、電源の必要な接続ケーブルといったところ。あれこれ見てみると、音質改善効果が高い、という方向で評判がいいようだが、あるサイトで見た完成品は、正直いって信じられないくらい高額。正気の沙汰とも思えない。

数日後、独自のアイソレータの基板と主要なICだけを頒布してくれるサイトを見つけた。ふつう、パルス発生用にコイル(トランス)を使うが、ここでは基板上に設けられたループ状パターンが空芯トランスとして機能するという「お気楽アイソ」。面白そうだ。しかもお値段は800円と激安。他のパーツを買っても2000円台で出来そうな予感。ネットでは、上記の高額アイソよりもいい、という意見も。

問題は、これまで殆ど未経験の細かいハンダ付けだが、「800円なら、もし失敗しても・・・」という良からぬ囁きが聞こえ、予備も含めて2セット購入してみた(またしても直後に売り切れ)。

しばらく後、必要なパーツを買い求め、基板への部品実装は1時間弱という、私にしては画期的スピードで完成。
大きさの比較のためつまようじを置いてみた。私の肉眼では品番すら読めない大きさのICの足や、2mm角程度のチップコンデンサなど、眼球が痙攣するくらい細かいハンダ付けに戸惑ったが、慣れれば結構出来る。

電源は、ジャンクの山から掘り出したアダプタのプラグを切り取り、デジタル入出力は映像用ケーブルを1本、適当な長さに切って直付け。

繋いだ結果、音質は、更にくっきりと輪郭が鮮明になった・・・・ような気がする・・・・かもしれない・・・・が・・・・微妙だったり・・・・。

法理と心情の狭間で

ハードル高い危険運転致死傷罪(毎日新聞) Yahoo!ニュース

取り敢えず目についた記事を引用したが、なんともコメントし難い判決になった。昨年、裁判所が訴因として業務上過失致死傷の追加を促した時点で判決は決まっていたとはいえ、いざ業過で7年半が出てみるとやりきれない気分がする。

焦点の危険運転致死傷罪は、以下のように定める。
第二百八条の二  アルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させ、よって、人を負傷させた者は十五年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は一年以上の有期懲役に処する。その進行を制御することが困難な高速度で、又はその進行を制御する技能を有しないで自動車を走行させ、よって人を死傷させた者も、同様とする。
2  人又は車の通行を妨害する目的で、走行中の自動車の直前に進入し、その他通行中の人又は車に著しく接近し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転し、よって人を死傷させた者も、前項と同様とする。赤色信号又はこれに相当する信号を殊更に無視し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転し、よって人を死傷させた者も、同様とする。

判決では、「正常な運転が困難な状態」という要件を厳格に適用した結果、この条文ではなく、業務上過失致死傷($211)で有罪となったわけだが、やはりこの条文の構成に無理があると言わざるをえない。悪質な交通死亡事故の多発と、量刑の軽い法体系に対する強い批判を受けて追加された条文であるから、検察が同条で起訴した場合、裁判所が認めないというケースは少ないようだが、被害の大きさと、事故発生後に被告人の採った盗人猛々しい行動とで世間の耳目を集めた本件において、危険運転罪が適用できなかったという事実は重い。上級審の判断も見たいと思うが、早晩、同条の改正論議が沸き上がるだろう。

感情に走り、単に重罰化を押し進めても、悪質な飲酒事故がなくなることはないだろう。他の罪種との刑の均衡を損ねるようなことになると、また別の問題が生じる。とはいえ、市民の素朴な処罰感情に適わない法律が堂々と存在することは、法に対する市民の信頼を著しく損なう。裁判員制度実施を目前にして、立法、司法双方の責任は嫌が上にも重い。

それぞれの「座」

会津は冷たいみぞれが降っていた。ローカル線と新幹線、中央線の三線を乗り継いで6時間弱、陽は落ちてもまだ昼間の温もりの残る甲府に着いた。明日から新しい年の始動だ。

気丈だった母は、めっきり弱くなっていた。ニ週間一緒に過ごし、いざ出かけようというときの表情は、実に寂しそうで言葉がない。「猫5匹と一緒に移り住むか」と問うたが、息子に迷惑をかけてはいけないと思いこんでいるのだろう、答えは「否」であった。

この年末年始、当家にはほんの僅かの変化があった。会津に戻って最初の夜、食事の時間、母は私に、半年間空いたままの場所に座れといった。子供のころ、ふざけて座ると必ず母に怒られた、そこは父の「座」であった。格式も家産もないサラリーマン世帯でも、父の存在は家の中心であり、とても重いものなのだと教えこまれた、その「座」に座れと、母は言う。そこに然るべき誰かが座ってないと、寂しくて仕方がないのだろう。

私がその「座」に着くとほどなく、左右に猫が来て座った。かつて父がそうしたように、食卓から肉や魚をつまみ、大人しく待っている猫に与え、頭を撫でる。こいつらも、この「座」に誰かが座るのを待っていたのか。

責任などという当世風の薄っぺらい言葉では言い尽くせない何かを背負う、その覚悟が必要な場所が、私の「座」になった。

作る

雪に降り込められて年を越した。祝い事のない正月だから、訪う人もなく、寄ってくる猫を撫でながら本を読むという、静かな休日を過ごす。もっとも長毛の四女は雪でも構わず外に出て、水たまりでも踏破したのかずぶぬれ、雪まみれで帰ってくる。自分では毛繕い出来ないレベルの濡れ方なので、家人のいる居間に鳴きながら入ってきて、後は大騒ぎ。日中だからまだ対応もするが、真夜中に雪だるま状態で寝室に入ってこられると、正直パニックになる。

年の内に、母に頼まれて居間のドアに小さな内鍵を付けた。道具は、長年父が買い集めたものが、それこそ壁一面規模で揃っているから、部品さえ買ってくれば、取り付けなど朝飯前。ものの10分で、母の規模どおりの動作を確認。

今さらたが、私は「作る」こと、何かを作っているという状態、修理・改良のために智恵と技を揮うことが、とても好きだ。仕事でも、道楽でも、「好き」で「楽しい」から、何年も、何十年も、倦まず続けていられる。ならば、年の始めに、今年の目標として、改めて「作る」を掲げることにしよう。

何も機械類ばかりではない。今年は、前任校時代と比肩しうるゼミを作る。人に自慢したくなるような良い講義ノートを作る。これは作り直すといったほうが正確かな。活字になる仕事、執筆活動も「作る」に入るだろう。さしあたり、近々に科研費がらみの報告書を一点。その後は、秋を目処に明治関係を少々。

料理、写真、音楽は、折りに触れ、ひらめいたときに良い作品を作る。特に音楽はMIDI板「海道東征」の実現に向けて、工夫をしてみよう。単体のMIDI楽器がほとんど販売されなくなっている現状では、ちょっと急いだ方がいいかもしれない。昨年から凝りに凝っている音響機器は、これはしっかりと計画をたて予算措置を十分に。

作る、作り出す、生み出す。想像力を振り絞り新しい何かを形にするのは、私達の稼業では当然のこと。それを意識的に、前向きに、かつ楽しみながら継続することができれば、研究者人生の後半を、よりアグレッシブに、力強く切り拓いていけるのではなかろうか。
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