利権

カテゴリを音楽にするか、法律系にするか考えた末、やっぱり不得手な分野に足を踏み入れる危険を回避することにした。

スラドと並んで私の巡回先のひとつ、GIGAZINEに、すごくイヤな記事を見つけた(ネタもとはこちら)。

思い切り要約すると、イギリス施設でチャリティーイベントを開き、子供たちが賛美歌を唄っていたところ、イギリス演奏家協会から使用料を請求されたとか。かの地でも、さすがに怒りの声が上がっているようだ。どうやら他人の音楽著作物は、人前では聴いてはいけないようだし、著作者か隣接権者以外は演奏などもってのほか、というふうに読める。

日本では「交差点で鼻歌をうたっていたらJA○○○○に金を取られる」というジョークがあるが、イギリスではこれがジョークでは済まないのかもしれない。

音楽に限らず、文化的作品を創作する者に、その創作物から得られる経済的利益を保障することは当然であろう。その課程で、その創作物にまつわる権利、というかそこから生ずる利益を他者に掠め盗られないよう、ガードするのも仕方ない。だからといって、子供たちのチャリティーの利益を持って行くのはいかがなものか。子供の歌の「売上」ということなのか、裏で流していたラジオが客寄せになったとでもいうのか。

いうまでもなく、著作者の権利を侵害するつもりはない。が、文化庁の天下り先に法外な「使用料」を払ってやる義理もない。だから前任大学の吹奏楽部では、可能な限り、オリジナルに編曲を書き下ろし、あの団体への上納金を圧縮してきた。今年も新しい書き下ろしを含め、4曲、私のオリジナルを演奏する。うち、著作権が生きているのは「海ゆかば」だけ。あの団体も、ヤクザなカラオケ屋と渡り合って、決死の覚悟でカラオケの著作権料を徴収していた頃はよかったのだが。

人の褌で相撲をとるのは、洋の東西を問わず嫌われるというお話。

DTM

パソコンで「サウンド」なんて絶対に有り得なかった時代のPC98。それでも標準で付いていたビープ音で、非常に音程の悪い「音楽もどき」を鳴らして遊んだことがあった。やがて外部音源を買い、使い勝手の悪い「シーケンサ」で楽譜データを一音一音入力し、何ヶ月もかかって5分ほどの序曲を作ったのは、何時のことだっただろうか。遠い昔のようだが、金沢時代であることは間違いないから、最大でも14年前。

スラッシュドットによると、こんな商品が発売されるらしい。半年とか一年とか、雑誌を買い続けて始めて何か完成するという、よくCMで見かける「売り方」の最新版は、何と音楽ソフトの切り売りらしい。

上の頁では、既に試算がアップされているが、付いてくるソフトを単体で買った方が安そうだ。それに、折角のソフトを一年近く、フルスペックで動作させられないというのは、私には耐えられない。問題の音楽ソフトはSSWという、今日の同種ソフトの中では最も元気のいい、というか対抗馬が次々と消えて行く中で孤塁を守っているシーケンサの定番。

音楽作成ソフトは「シーケンサ」と「ノテータ」に大別できるが、SSWは主として前者。音のパラメータをいじって音楽作りが楽しめる。PCのスペックが上がって来たので、ソフトウェア音源でも十分に使い物になるから、高価な外部音源なしでもそれなりにいける。が、なんで今ごろこんなソフトが、という疑問は禁じ得ない。

MIDIという、PCと音楽と両方できて始めて楽しめる規格は、もうすっかり廃れてしまって、SSW以外のソフトも、外部音源も、軒並み廃版だ。何故、今になって、と思い、スラドをよく読んだら、「初音ミク」効果にぶつかった。YAMAHAが、XG規格の後釜(?)として世に送ったVOCALOIDは、出来の悪い合成音声に高低を付けるだけ、というレベルを脱し、人が唄うような波形データを作ることが可能になった。最近社会現象化した「初音ミク」は、その成功例だ。昨今のシーケンサなら、VOCALOIDを組み込んで、唄わせることができる。

でも、この雑誌の企画が「初音ミク」狙いだったとしたら、大きな問題がある。SSWとVOCALOIDは相性が良くないのだ。というか、そもそもSSWはVOCALOIDの組み込みなんか想定していないから、どうしても無理がある。

この雑誌連載型物品販売というビジネスモデルは、いつ見ても、「全巻講読して付録を完成させた人は、何人くらいいるのだろうか」と疑問になる。こんな買い方は、待つことが苦手な私には、絶対無理だ。

ちなみに私の音楽データ作成環境は、
シーケンサ:Recomposer for Windows 95(既に開発の終った消えゆくソフト)
ノテータ:Finale2007 (毎年バージョンが上がる高級ソフトだが、2007は非常に出来が悪い(と思う))
外部音源:YAMAHA MU90, MU500
外部キーボード、WIND MIDI Controller etc.
レコンポで音楽的なデータを作り、フィナーレで楽譜化するというパターンが一般的。15日の前任校吹奏楽部定期演奏会でも、この組み合わせで作った楽譜が部員たちを苦しめることになっている。

フィナーレならVOCALOIDも使えるので、クラシック向けの音声パターンが出たら、声楽の大曲を打ち込んでみるのも楽しそうだ。その時は是非、「海道東征」をパソコンで演奏させてみたい。楽譜持ってるし・・・。
calendar
<< 師走 2007 >>
SunMonTueWedThuFriSat
      1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
3031     
selected entries
categories
archives
recent comments
recent trackbacks
profile
others