法廷で何があったのか

神戸新聞のWEB NEWSに短い記事が載った。
 公判中の法廷で、証人に暴行、威圧的な発言をしたとして、明石署は二十七日までに、証人威迫と暴行の疑いで、東大阪市、無職の女(46)=同罪で起訴済み=と、大阪市生野区、無職の男(53)を逮捕した。

 調べでは、今年三月十四日、神戸地裁明石支部で、公務執行妨害事件の被告となった女の息子(22)の公判があった。二人はその際、傍聴席から柵の内側に入り、証言していた共犯の男性(32)=神戸刑務所に服役中=に威圧的な発言をした上、男性の肩をつかんで引っ張るなどした疑い。

 女は「息子に対する不利な証言をやめさせようと思った」と供述しているという。

神戸地裁明石支部で何があったんだろうか。傍聴人が声をあげ、裁判長の静止を聞かず退廷させられる、といったケースはまま見られるが、法廷内での犯罪行為はあまり記憶にない。

詳しいことが分かったら教えて下さい>兵庫県在住の諸賢

NETネタだけど・・・

今日は朝から、日本語のTB spamがたくさん飛んできているようだ。海外のポルノや薬物サイトのURLだけ投げてくるバカは珍しくないが、どうやら今度のspamは日本人の手によるもの。嘆かわしさ100倍といったところ。

自動で門前払いしているのでログから拾ってみたところ、やはりエロサイトや「どこから見ても詐欺だろ、これ」っていう感じの宣伝文句とURLのなかに、気になる文言を見つけた。
身近な交通違反(駐車違反・スピード違反など)の反則金を補償する。それがライセンス保険です。
金融庁が「違反を助長する」として、いわゆる「反則金保険」を扱う無認可共済事業者の営業を認めない方針を打ち出し早くも廃業する団体がでている、まさにその日にこんなものを投げてくるとは、解散直前の駆込み詐欺でも狙っているのだろうか。

ちなみに上記TB spamを含め、今日の収穫の半数はIIJから、残りの半分はYahoo!BBから送信されている。そしてこいつらは基本的に、TBの何たるかを理解していない。内容以前の問題として、TBになっていない以上、お断りだ!。もちろん、内容から見ても当然お断りだが。

驚きの判決

学部に入って以来、「えっ?」と思う判決を読んだことも度々あるが、これは出色の出来だと思う。

国旗国家に関する都教委通達を違憲とする東京地裁判決のことだが、ネット版の新聞をあれこれ見て回って、一番詳しかったのが毎日(Yahoo!ニュース)だった。私個人の思想的スタンスはひとまず置くとして、記事に紹介された判決で一番問題なのはこの部分。
判決はまず、日の丸、君が代について「第二次大戦までの間、皇国思想や軍国主義の精神的支柱として用いられ、現在も国民の間で宗教的、政治的に価値中立的なものと認められるまでには至っていない」と指摘。
まず前段。
第二次大戦までの間、皇国思想や軍国主義の精神的支柱として用いられ
これも意見の分かれるところだが、事実には違いない。ただそれを言うと、「日本」という国号も争点になりゃしないか?。いやいや、問題はその次。
現在も国民の間で宗教的、政治的に価値中立的なものと認められるまでには至っていない
これはダメだ。野党の強烈な反対を押し切って成立した事実はあるにしても、「国旗国歌法」の制定法たるの効力に、価値中立性などという、法が一般に予定しない具体性を欠く要件を求めるに等しい。こんな要件を付してしまったら、仮に国旗と国歌を作り直したとしても、未来永劫、中立などという状態には至らず、永遠に違憲状態が続くことになろう。国旗国歌法の成立前ならまだしも、いまこの論法は使えない。

判決全文を入手できないから、事実関係の争いがどう判断されたのか判然としないが、この一事をもって、飛越上告することも考えられるのではないか。

追記:朝、新聞でもう少し詳しい要旨を読んで頭が痛くなった。もはや論評できない判決。

マイナーな時事ネタ

怒濤の一週間が終り、少しずつ体力も戻って来たので、こんなネタから。

朝日新聞によると、
夫の定期入れに大麻を入れるなどしたとして、大阪府警泉北署は19日、堺市中区の花店経営の女(32)を大麻取締法違反(所持)容疑で大阪地検堺支部に書類送検した。当時、夫と離婚を考えており、「夫が大麻所持で捕まれば離婚調停が有利になり、子供の親権が得られると思った」などと供述しているという。
短慮も短慮、なにも考えていないといった方がいいくらい、短絡的でお粗末な犯罪だ。
 女は夫の定期に大麻を入れた後、同署に通報。署員が夫を見つけて事情を聴くと、夫が「大麻を入れたのは妻しかいない。以前にお茶に何かを入れられ、具合が悪くなったことがある」などと話したため、同署が事情を聴いていた。2人は9月初めに離婚したという。
離婚の希望は適ったようだが、親権は諦めるしかなさそうだ。

続けて産経のizaから、
無免許で酒気帯び運転したとして道交法違反の罪で在宅起訴後、約17年間にわたって行方をくらましていた名古屋市南区の元会社員(42)が見つかり、名古屋地裁で19日、懲役6月、執行猶予3年(求刑懲役6月)の判決を言い渡された。
年齢から引き算すると、25歳のときから逃げ回っていたということになる。
 元会社員は在宅起訴されたが、その後行方が分からなくなった。公判も開かれていなかったが、今年7月、愛知県警南署の署員が元の住所近くの同市南区で発見した。
 南署によると、元会社員は発見時、土木作業員として働いていた。借金の取り立てから逃げており、裁判所に出頭できなかったと話しているという。
借金苦は深刻なのだろうが、立ち直るための制度は用意されている。それを利用することすら考えられなかったのか、と思うと、末端とはいえ法に関係した仕事をしている身としては、暗澹たる気分がする。しかもこの男、起訴後、判決確定前に逃亡してしまったから、公訴の時効(刑訴$250)も刑の時効(刑$31)も、どちらも適用されなかった。執行猶予がついたことだし、これを転機にまっとうな人生を歩んで欲しいと、同年代として切に思う。

明日も

名古屋で学会。しかもまたまた報告。

ついさっきまで原稿とレジュメ作成に追われていた。こんな土壇場まで用意が出来なかったなんて、記憶にない。
(土壇場に行ってはいけない、と講義した記憶はある・・・)

先週の研究会報告がベースにあるとはいえ、新史料を追加し構成を練り直したから、実質一から書いたも同然。「速筆」の二つ名は伊達じゃなかったということなのかもしれないが、こういう仕事の進め方は身体にも精神にも良くない。断じて良くない。

ここ2週間ばかり、メールの返信すらしないで閉じこもりました。なにとぞ御海容のほどを>「メールが来ない」とお怒りの諸賢

昨日は炎天

燃えるような暑さの中、自室でパソコン2台を振り回してお仕事。

今日は一転して秋雨シーズンスタート。昨日までの仕事を抱え、これから名古屋まで出掛けます。目的は研究会出席と仕事の報告。調べて考えることは何の苦にもならないけど、往復6時間の「旅行」は、大分しんどく感じられる昨今です。読書も目が疲れて仕様がないので、夏前に衝動買いした某S社のメモリープレーヤーに、日本人作曲家の交響曲などタップリ放り込んで用意万端。

今晩戻ったら、来週土曜日の学会の部会(これまた名古屋)に向けて、更に怒濤の頭脳労働が・・・。

追記:九月唯一の娯楽となった(確定かよ!)『風の盆』の写真は、上記仕事に押されて未整理です。仕事の途中でどうしようもなく煮詰まったら、突然、右のフォトローラーに載せるかもしれません。『風の盆』で検索して来て下さる方にはお詫びします。

大慶至極

謹んで皇室の弥栄を寿ぎ奉ります。

起き抜けからニュースを注目していましたら、思いがけないほど早く親王様御誕生の第一報が流れましたね。典範改正論議の方向が大幅に変わることも、後桜町院以来の女帝登極はないであろうことも、これでほぼ確定したわけで、法制史研究者としては伝統に範をとらない新制度を見てみたかったという思いも少しだけありますが、興奮気味に喋るアナウンサーの声を聞いてからずっと、「良かった」と素直に感じています。

研究室に移動して、直近に迫った締め切りに向けて史料読みを始めてからも、慶事のご利益か、普段よりはかどったようです。今上陛下御誕生を祝して書かれた『皇太子殿下御誕生奉祝歌』(橋本國彦)のCDをかけながら、時折、今回は誰かが奉祝歌を書くのだろうか、などと他愛もないことを考えつつ、穏やかに勉強できた一日でした。

風の盆

人々の熱気を縫うように流れてくる涼風と、胡弓の音。

後ればせながら

今日明日と、「恒例・夏のイベント」に行く。

メンバーはいつものOG会主力と快男児O君、末の弟子に有力な新人など、一層パワーアップ。今回の主目的は、10年来憧れの「おわら風の盆」見物。

通常一年前からじゃなきゃ宿も取れないから、一時は実現が危ぶまれたけど、A嬢が嫁いだ後、一人で会を切り回す最高幹部T嬢の起死回生の活躍で、コテージ一棟ゲットに成功。コテージで私が料理を担当し、皆で懇親の実をあげまくるという例年のパターンに落ち着いた。

ただ、夜の盆踊り見物のため、例年のように時間をかけた料理は出来ない。そこで目下、
    見物前に配給するサンドイッチ用のローストビーフ
    コテージ帰着後の夜食、「マグロとアボカドの漬け丼」用の出汁醤油
を、大車輪で作っている。

愛用のデジタル一眼に加え、借り物のビデオカメラも充電完了。迎えの車が来るまであと4時間弱、もう座っている暇がなくなった。

良い写真が撮れたら、また後日。

1135追記:大枚投じたももの固まりは、見事なローストに変身。肉汁が落ちつくのを待ちつつ、一緒にはさむ軽いマリネを作る。出汁醤油も完成。合わせ酢が冷めるのを待っている状態。時間との勝負継続中。

有権解釈

最高裁は8月30日、刑法244条にいう親族の範囲に関し、内縁の妻はこれに含まれないという解釈を始めて示した

刑法244条1項は以下のように定める。
配偶者、直系血族又は同居の親族との間で第二百三十五条の罪、第二百三十五条の二の罪又はこれらの罪の未遂罪を犯した者は、その刑を免除する。
(2項以下略)

今次最高裁の判断は、上告棄却の決定の中で示されたものであり、全体として大変短いものだが、
所論にかんがみ職権で判断すると,刑法244条1項は,刑の必要的免除を定めるものであって,免除を受ける者の範囲は明確に定める必要があることなどからして,内縁の配偶者に適用又は類推適用されることはないと解するのが相当である。
と、極めて明確に内縁の配偶者間での同条適用を否定した。

民事においては、長い年月を経て準婚、内縁への法的評価が定まっていったが、刑事においては厳格に法律婚に限られることを明示したもので、絵に書いたような有権解釈である。某所での講義の前に、この判決が出ていたら楽だったのに・・・。

残念ながら原審判決は読むことができなかったが、知見の限り最も詳しく伝えた時事新報の記事では、
1、2審判決によると、男性は2004年8月から12月にかけ、内縁関係にあった女性が外出したすきに、鍵業者を呼び、女性の自宅金庫から7回にわたり現金計725万円を盗んだ。
とある。論点にはなっていないが、被害額が大きすぎる。親族相盗という行為について私がイメージするのは、『財布からこっそり飲み代をくすねた』程度だが、どう考えてもそんな可愛いレベルではなさそうで、被害者の処罰要求も強かったであろうことが推察できる。

もし、法律婚の間柄でこれだけのことをしたら、並みの血の雨では収まりそうもないような気がするのだが、世の奥様方ならどうされるだろうか。
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