有権解釈

最高裁は8月30日、刑法244条にいう親族の範囲に関し、内縁の妻はこれに含まれないという解釈を始めて示した

刑法244条1項は以下のように定める。
配偶者、直系血族又は同居の親族との間で第二百三十五条の罪、第二百三十五条の二の罪又はこれらの罪の未遂罪を犯した者は、その刑を免除する。
(2項以下略)

今次最高裁の判断は、上告棄却の決定の中で示されたものであり、全体として大変短いものだが、
所論にかんがみ職権で判断すると,刑法244条1項は,刑の必要的免除を定めるものであって,免除を受ける者の範囲は明確に定める必要があることなどからして,内縁の配偶者に適用又は類推適用されることはないと解するのが相当である。
と、極めて明確に内縁の配偶者間での同条適用を否定した。

民事においては、長い年月を経て準婚、内縁への法的評価が定まっていったが、刑事においては厳格に法律婚に限られることを明示したもので、絵に書いたような有権解釈である。某所での講義の前に、この判決が出ていたら楽だったのに・・・。

残念ながら原審判決は読むことができなかったが、知見の限り最も詳しく伝えた時事新報の記事では、
1、2審判決によると、男性は2004年8月から12月にかけ、内縁関係にあった女性が外出したすきに、鍵業者を呼び、女性の自宅金庫から7回にわたり現金計725万円を盗んだ。
とある。論点にはなっていないが、被害額が大きすぎる。親族相盗という行為について私がイメージするのは、『財布からこっそり飲み代をくすねた』程度だが、どう考えてもそんな可愛いレベルではなさそうで、被害者の処罰要求も強かったであろうことが推察できる。

もし、法律婚の間柄でこれだけのことをしたら、並みの血の雨では収まりそうもないような気がするのだが、世の奥様方ならどうされるだろうか。

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