光のどけき

日付が改まる頃、一家を代表して近所の天神様にお参りに行く。かつては本殿の扉すら開かれなかった社も、いつの頃からか、境内には篝火が焚かれ、氏子集が縁起物を売るようになった。三々五々集まる町内の人々。顔も分からぬ暗夜でも、「おめでとうございます」と言葉を交わしつつ、心静かに平穏な年明けを祝うことが恒例となった。見上げると夜空のあちこちに星が。しんしんと冷える。

陽が昇り、午前9時の気温が氷点下6度。もうちょっと早く外に出れば、ダイヤモンドダストが見えたかも、と思うくらい寒い。雪から生えたような庭木の枝には樹氷が。
庭の樹氷

会津では元日の朝、長命を祈って蕎麦を食べる。一家で挽きぐるみ生粉打ちの蕎麦を食べるのも、いつに変わらぬ年中行事。何の変哲もないが、この穏やかさが暖かい。

例年は自室に戻り、ブラームスの一番あたりを聴いて「音楽家」としての一年を始めるのだが、今年は信時潔『海道東征』を聴く。昨年後半から強まった「信時信仰」は新年でも変わらない。楽曲についての解説、感想は後日改めて稿を起すつもりだが、過剰な技巧とは全く無縁の、木訥で力強いこの音楽は、日本のオーケストラ作品の一つの頂点ともいえよう。現し世の荒海を漕ぎ渡る力をこの曲から授かりたい。
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