判決文のイタズラ

YahooNEWSの記事で読んだのだが、スラッシュドットでも紹介されたので。
 
報道によると、イギリス高等法院で「ダ・ヴィンチ・コード」の著作権をめぐる裁判があり、原告の訴えが退けられたが、事件を担当したピーター・スミス判事が判決文の中に不規則な斜体字を使った独自の暗号を埋めこんだ。
 

スミス裁判官は28日、「暗号は判決内容とは無関係で、楽しみのために作った」との談話を発表。解読すると、裁判官が尊敬する英海軍の英雄ジョン・フィッシャー提督に関する文言が出てくるという。

 
更に時事通信の記事では、原作に出て来る数列を使って解読した結果が報じられている。
 

「スミスの暗号…ジャッキー・フィッシャー(提督の呼び名)、あなたは誰。ドレッドノート」となり、スミス裁判官もこれが正解だと認めた。

 

フィッシャー提督は、19世紀末から20世紀初頭の英国海軍の大物。今風に言えば「リストラ」を断行し、英国海軍の近代化を強力に推し進めた人物で、彼の功績とされる新型戦艦の名前が「ドレッド・ノート」。日本では超弩級という言葉で知られるが、この言葉は、ドレッド・ノートを超える大きさという意味で、建造当時は文字どおり世界最大の戦艦であり、各国の軍事力増強に拍車をかけ、ひいては一次大戦の遠因ともなった。
 
ダ・ヴィンチ・コード関係の裁判で、物語さながらの暗合を仕込み、裁判とは全く無関係の言葉を浮かび上がらせるとは。実に恐れ入ったイタズラである。暗号を解いたのはプレスのようだが、法律家も躍起になって解読に挑戦したらしい。
 
こんな、ある意味愉快なイタズラが発覚した経緯を知りたいが、残念ながら報道を見つけられない。それにしても、もしも日本で同じようなことをしたら、その裁判官は絶対に再任されないだろうな。下手したら弾劾されるかも。

どこまで続くWinnyぞ

例によってスラッシュドットジャパンの記事によると、企業向けセキュリティソフトを販売しているネットエージェントが、Winnyノード数*1の推移を発表した。直近のデータでは、一日平均で50万前後、週末になると数万台増えるという。そして、この数は、ここ2ヶ月で増加傾向にあるというのだ。官房長官の発言も、さしあたり抑止効果なかったようだ。

一連の情報流出騒動で、これまでWinnyなんか知らなかった、いたって一般的なPCユーザーの中から、新たにインストして使ってみようという物好きが増えているということなのだろうが、あまり感心しない。いまWinnyを使えば、世情を騒がしている流出データを拾うことができるかもしれないわけで、そのあたりに興味を引かれてのことではないかと想像するが、何分Winnyは、Antinnyへの対処ができないままの非常に危険なソフト。開発者が京都府警に誓約書を取られてしまい、セキュリティパッチを作るとまたぞろ、著作権侵害幇助で罪に問われる危険があるからだ。

現時点ではっきりいえることは、

  • いかなる理由があろうとも、部内、社内のみで閲覧が許された情報を、私的に持ち出した時点で既にその情報は流出している。現下の騒動は流出済みの情報が、更にWinnyで無関係な誰かの手に渡ったということだ。
  • Winny自体は違法でもなんでもない。
  • この期に及んでWinnyを使いたいなら、自己責任でセキュリティレベルを上げ、各種ウィルスチェックを励行し、また他者の著作権を犯すことのないよう、交換するファイルは自作のポエムあたりにしておく。

といったところか。この騒動で、P2Pという大変有用な技術全体が白眼視され、あるいは迫害されたりすることのないよう、切に祈る。

  • *1 : Winnyを起動し、ネットに接続しているPCの台数

祝い事を前に

昼前、県内南部の実家に戻り定職に付いた、OG会幹部F嬢から来信。
「今日午後からの講義ありますか?」
「なにそれ?美味いのか?」
「くそまじぃですね。お邪魔します」
「『うどんこ』行くか?」
「(≧▽≦)!!!!!」

ということで、連れ立って、いつものうどん屋さんへ。F嬢は随分久し振りだったらしく、大喜びでふた玉のかけうどんを平らげた。

F嬢は来月華燭の典を挙げるA嬢の仲間。披露宴後の二次会の幹事を頼まれたとかで、その話題でしばらく盛り上がる。食後、研究室に戻って、コーヒーを飲みながらまたしばし歓談し、二次会実施への問題点を復唱しながら、仕事に戻って行った。

来週は彼女たちが、私の誕生祝いの夕食会を開いてくれる。本当によい学生ばかり集まったものだ。しみじみ有り難いと思う。
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三田に行ってきた

22、23の両日、法制史学会の総会が、母校の三田キャンパスで開かれた。久しぶりの三田を楽しむ余裕は勿論なかったが、恩師、先輩方と久し振りにお目にかかり、同業の方々と専門の話をするのは実に楽しい。地方の大学に出ると、この点が一番足りないのだ。

わずかな時間の合間に生協の書籍部に行き、いつも通り一つかみほど本を買う。近くに専門書を多数揃えた書店がないのは、本当に辛いことだと思う。返す刀で、院生時代、何度となく通った蕎麦屋へ。ここは、慶應法制史の祖、手塚豊先生がご贔屓にしていらっしゃった店。かつて「三田の三美人」のひとりに数えられたという看板おばあちゃんはお留守だったが、静かな店内で昔と変わらぬ蕎麦つゆを味わう。

初日の研究報告は、法科大学院教育における法制史の役割を念頭に置いたもので、各報告者の苦慮の跡が滲むものばかり。聞いていて切なくなる。

報告が終り、会場を出ようとすると、どうも大学には似つかわしくない背格好の集団が、ぞろぞろと校舎から出て行く。地味、派手様々だか、どう見てもおじさん、おばさんの一群。こりゃ何の集まりだろう、と、その群れから少し離れて歩き出して、はたと気づいた。学会と同じ日、同じ三田で、卒業20年の同窓会が開かれるという葉書が、私の自宅にも届いていた。この一群のおじさんおばさんは、全員私と同期の三田会会員なのだ。同期の仲間たちのおじさんおばさんぶりに我が身を重ね合わせ、悄然と三田を後にした。
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目出度きこと

時ならぬ雹が降る大荒れの天気にもかかわらず、OG会ナンバー2のA嬢が研究室を訪ねてくれた。結婚式、披露宴の招待状を持参して、だ。

我がOG会メンバーはみな、良く気がつき、周囲に目配りが出来る、といった、優れた徳性を持ったものばかりだが、A嬢はその中で、抜きん出て料理が出来る。その一事でも、良いお嫁さんになるだろうと思っていたのだが、在学中から付き合っていた恋人と、卒業後数年で機が熟したようだ。

式その他の準備と仕事とが重なり、少々マリッジブルーに陥っているようにも見えたが、誰もが通る道。来月には彼女の花嫁姿をしっかりと目に焼きつけよう。なんだか、娘を嫁に出す父親の気持ちが、少しだけ分かったような気がする。

K大のT先生、S大のB先生、Aの目出度い門出です。祝儀を送ってやってくださいな。

またスパムだよ

ようやく二日連続の記事になったとおもったら、ネタが最悪。

ここ数日、非常に大量のコメントスパムが送りつけられている。何種類かのフィルタをかけて防いでいるので、個別エントリーのページに、何の脈絡もなくエロDVDや怪しい薬販売サイトへのリンクが現れることは避けられているが、不愉快であることは言を俟たない。貼られたリンクを見ると、特になんの細工もなく、こんなことをしてもアクセスアップには繋がらないだろうし、間違っても商品の売上に効果があるとは思えないのだが、敵はどうやらSEO(Search Engine Optimizer)を狙っているらしい。検索エンジン(Google や Yahoo など)に表示されるサイトからのリンク数が多いと、敵のサイトの評価向上に繋がり、検索結果の上位に表示されるという仕組みを悪用したいらしいのだ。

Aというspammerサイトのリンクが、BからZまでのブログにスパムという形で打ち込まれる。これが表示されると、事情を知らない検索エンジン(クローラ)は、Aを、多くのサイトからリンクされた優良サイトと評価して、結果の上位に表示する。エロDVDや怪しい薬を求めて検索をかけた奴が、結果の上位のサイトにアクセスする、という図式を狙っている。

例えばGoogleは、この手の不正SEOに対しては、所謂Google八分(検索結果に表示しない)という措置をとって対抗しているが、いたちごっこの感は否めない。あの手この手の誇大広告が、ネットでは大流行しているのだ。

それにしても、自分のブログが、寝ているあいだに怪しい奴らの誇大広告の手段に使われてはたまったもんじゃない。そこで新たに、IPアドレスから怪しいコメントを弾く仕掛けを導入した。これはさしあたり、海外からのコメントを原則受け付けない設定になっている。

そこでもしも、「自分のコメントがいつまでたっても表示されない」とご不満の方があれば、メール、メッセ、電話(ォィォィ)等でご連絡いただきたい。直ちに原因を調べ、善処します>読者諸賢

短命なOS

週刊よりも間が空く昨今、覗きに来てくださる各位には大変申し訳なく、只管ご寛恕のほど、御願い上げ奉り候。(木の芽時だなぁ、と思った貴方は正しい)

このところのお気に入り、スラッシュドットの記事によると、マイクロソフトは、Windows9x系OSの有償サポートを、7月11日で打ち切ると発表した。これはなかなか深刻な問題だ。

最新OS大好きという厄介な性情を持つ私は、3.0、3.1、95Preview、95、95 OSR2、98、98SE、2k、ME、XP Home、XP Proをすべて購入し、実際に相当の期間使用してきた。所有はしなかったが、2.11も使ったことがある。サーバー用であるNT以外、MSのGUI型OSは殆ど使っていることになる。で、満足できるレベルと評価できるのは、GUIを持たないMS-DOSを除けば現在のXPだけ。私がXPに満足しているのは、それまで使っていたMEとの比較において、圧倒的にフリーズが減った、というか殆どなくなったからだ。

MSの定めた規格に合わないお行儀の悪いソフトは言うに及ばず、できの良い(はずの)ソフトでも、朝から晩まで使っていれば、必ず止まる、これがMEまでの常識だった。少しずつシステムリソースが減って行き、あるところでOSのカーネルが突然止まる。それまでの仕事も、何もかも道連れにして、Windowsは動作することを止めた。XPは個々のプロセスが独立しているから、仮に一つくらい変なことが起っても、カーネルが窒息することはない。私はXPに乗り換えて以来、あのブルーバックエラーを見ていない。これは画期的なことだ。

だが、MSの有償サポート打ち切り(無償サポートは2003年に打ち切られている)は、いかがかと思う。2000年に発表されたMEが入ったマシンなら、まだごろごろしているはずだ。MSはXPへの乗り換えを推奨しているようだが、2000年発売のプリインストールマシンにXPが入るくらいなら、だれも苦労はしない。MSへの忠勤を欠かさないマニアは、サポートなんかなくても問題ないが、圧倒的多数の一般ユーザーは、
OSを買って来て入れ換えるなどという発想を持っていない。そういったユーザーのマシンも、今や多くがネットに繋がり、日夜、ワームやハッキングの危機に晒される。

まだ動くから、自分にはこれで十分だから、といって古いパソコンを大事に使っているユーザーに、「もう金を出したってサポートしてやらない。新しいOSが入った機械に買い替えろ」と言わんばかりのMSの姿勢には、強い疑問を感じる。MEは、95の半分しか生きていないのに、捨てろ、と言われているのだ。

先日、これ以上、Billに朝貢するのもむかっ腹が立つので、サブマシンにFedora5を入れてみた。ありあわせのパーツで組んだマシンに、フリーのOSだから、追加コストはゼロ。でも、XP並みにカスタマイズするには、向後、若干の投資と相当の時間を要する。ここで手間取っては、仕事の道具になる前に、仕事の時間がなくなりそうで先に進めない。Vistaリリースまでにはなんとかしなくては。手持ちのマシンすべてにVistaを入れた日にゃ、顎が干上がることは必至だから。

やっぱり木の芽時だな。考えがフラグメントしっぱなし。

浅の川園遊会

OG会の面々と、浅の川園遊会に行ってきた。シグマのAPO 70-200mmと、二月に買ったx2のテレコンの組み合わせを試すのが私の主たる目的だ。

メンバーと現地で合流し、談笑しながら川縁を歩き、せいぜい六歩といったところの桜を狙う。まずは、70-200mmを手持ちで、ブレに気をつけながら。
紅彼岸

染井吉野

テレコンを装着し、35mm換算で600mm超という未体験ゾーンに。やや解像度が落ちるが、なかなかの描画力。外光が十分に得られれば、楽しく使えそうだ。
染井吉野

川面に特設された「浅の川演舞場」では、当地のきれいどころが艶やかな芸を披露。一番の呼び物は、鏡花の「義血侠血」というか、新劇の「滝の白糸」に描かれた水芸の場面。今年の太夫は、例年当地の芸妓衆の指導にあたっていた松旭斎正恵師。堂々たる演技は圧巻。ただ、私がようやく確保した撮影場所からは、舞台の柱が邪魔になって太夫の演技をきれいに写せなかったことが残念。とはいえ、太夫はもとより左右に侍る若い芸妓衆も見事に演じきり、まだ肌寒い古都の春を彩った。

来客ラッシュ

四月に入った途端、研究室は来客ラッシュで、自席の暖まる暇もないありさま。三月の静けさがうそのようだ。春休みが終り、戻って来た学生たちに交じって卒業生の懐かしい顔も。社会に出て、次第に責任を負う立場になり、忙しい盛りだろう世代の卒業生が、「近くまで来ましたので」といって顔を見せてくれるのは、実に嬉しい。

明日も面会の予約が2件。一人は随分会っていない卒業生だ。括目して待とう。

今日、金沢では桜の開花が宣言された。待ちに待った春本番だが、開花は平年並とか。明日の来客が、春にふさわしい明るい話題を持ってきてくれることを期待する。

時節ネタ

最近の裁判の動向、弁護士活動への疑問、消費者を混乱させる立法、出処進退を誤りまくった議員と政党など、まとめるのに手間がかかる話題がありすぎで(要するに新規記事投稿をサボっていたら)、今日になってしまったので、本日限定ネタを少々。

http://event.yahoo.co.jp/20060401eco/index.html

http://www.editnet.ad.jp/news/060401/

すぐに消えると思いますから、お早めに。

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