まだまだオーディオ機器を作る

(多分)今年二度目の雪のせいで、車の音も少なく、静かな日曜日になった。受験生諸君には試練の季節だが、冬の後には必ず春が来る。

一昨日から半日ずつかけて作っていた機械が完成。目下テスト運用中。でも今日のエントリに出てくるのは別の機械(←おいッ!)


昨年の12月初旬、一部の自作オーディオマニアが待ち望んだ、とあるキットが発売された。エレキットの真空管バッファ搭載CDプレーヤー・キットがそれだ。エレキットのシリーズではTU-875、TU-879Sを作り、作り易さと性能、価格のバランスを高く評価している。同社では過去三度、CDプレーヤーキットを発売しているが、今回は過去の実績を踏まえた集大成的な製品で、しかも限定品だという。「限定品」、なんと甘美な響きか・・・(正気に戻れ!>自分)。

この一年、というか半年ほど、集中して物を買っている『キット屋』さんでも予約を受けてくれるというので、早速注文したのが11月。一月ほど待って、予定より数日遅れたが、商品が届いた。
ざっとマニュアルを読んでみると、予想通り簡単至極。まだ校務のある週の半ばだったが、2時間半の予定で組み立てに挑むことに。

作業は、ガラスエポキシ基板を切り離すことから始まる。これはエレキットのお約束。大きなメイン基板だけでなく、小さな破片のような基板もそれぞれ仕事をする。続けて部品のハンダ付け。最初に仕上げるのは、一番大きな基板。整流回路を含むバッファアンプは、この機械のいわばセールスポイント。増幅素子は真空管1本(双三極管という、1本に2本分の機器が入った真空管を使い、ステレオ構成になる)で、ソケットは裏側に着く。

沢山のボタン類は、細長い基板に小さなスイッチを乗せていく。細かい部品の取付けや下準備には、相棒が大活躍する。一心に部品を取り付けていくと、次第に雑念が落ち、忘我の境地に入っていく・・・・。
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まだオーディオ機器を作る

センター試験、始めて監督した。前任校では独自試験だけだったので、自分が共通一次を受けて以来、20数年ぶりの、お上の試験。幸い天候にも恵まれ、トラブルなく終了して一安心。受験生諸君、栄光までもう一息!。



昨年の11月半ば過ぎ、どこぞから貰った風邪が居着いてしまい、咳が止まらなくなった。ちょっと楽しみにしていた小さなコンサートがあったのだが、途中で咳き込んだらマズイので諦め、講義のない数日間、自宅に引きこもらざるをえなくなった。

そういう時に限って、算段しておいた用事は風のように片付き、ド派手な着流しに落し差しで旅に出たいくらい退屈する(←どういう例えだ、一体)。ただこの時は、悪徳商人やどこかの代官を切りに行くより面白いパーツセットがあったので、ちょいとやっつけることにした。ネットオークションで販売している「ノンオーバーサンプリングDAC」。基板とパーツ、完成品のインターフェイス基板、それに使いやすそうな電源基板も一緒に買っておいた。

一度、普通に組み立ててみたが、何故か動作しない。電圧を計ってみると、どうやら所定の電圧が出ていない。外部から5Vと12Vを入れてやると動くから、レギュレータ部分にミスがありそうだが、どう考えても分からない。そこで、原因究明のため、レギュレータとDACを分け、ユニバーサル基板で組んでみることに。

結局、回路図を参考にして、ちょっと大きなユニバーサル基板一枚にパーツを展開し、動作する状態まで持っていった。電源も作り、いつぞや、ついでに買っておいた小さなトランスに繋いで更にテストを重ね、ノイズなど無いことを確認する。

先日組み上げたキット屋さんのDACの近辺で、真空管アンプに繋いで音を聞いてみる(間違いなく危ないので、良い子はまねをしてはいけません。こんなことをするのは世を儚んだおじさんだけです)。ノンオーバーサンプリング(詳しいことは詳しいサイトを探していただきたい)だから、かなら強力な(?)波形が出力されるはずだが、真空管アンプとは相性がいいらしく、輪郭のくっきりした「元気のいい」音が飛び出してくる。

パソコンの裏からデジタル出力を取り出し、アイソ、NOSDAC、6BM8シングルアンプと繋いでみると、またしてもいい音が。パソコンのケースの中はノイズの嵐だが、デジタルで取り出し、アイソレータで必要な波形のみを抽出、オーバーサンプリングなしで(「手を加えず」くらいの意味)でアナログ化し、音質の優れた真空管アンプに入れてやると、パソコンのCDドライブが立派なCDトランスポートになる。音楽再生の時は、ドライブの回転数を下げ、音楽を聴く環境を整備する。パソコンデスクの棚には、こんなSPを乗せてみた。重低音を望まない書斎にちょうどいい音質をもったウッドコーンのフルレンジ。

一通りの実験が成功し、満足して撤収。ケースを買ってくるまで、各基板は揃って段ボール箱で休むことに。調子がいいから、メインシステム用に、残しておいたアイソレータ2号も、ちょっと高級なパーツを使って組み立てておいた。

これもケースを買ってこなくては。空芯トランスがノイズの源にならないとも限らないし、むき出しは危ないし・・・。

真空管をいじり始めたら、デジタルも面白くなってしまった。奥が深い・・・。

オーディオ機器を作る 又々

今日から「怒濤の一月」が始まった。途端に、年内の積み残しの処理や細かいミスの後始末がドッと押し寄せ、返す刀の連続会議でもう青息吐息。帰宅後、音の出る暖房機から流れる音楽にひたるのが、唯一にして最高の楽しみ。

で、自作オーディオシリーズのちょっと番外編。

キット屋さんのModel2は、噂に違わぬ高音質だったが、愛用のCDP、CD-α717DRも決して負けてはいない。内蔵の1bitDACは一五年以上経っても音の透明感に衰えはない。「どちらの音が良いか」という贅沢な悩みににやけていると、ネットで「アイソレータ」というデジタルフィルタ(のようなもの)を見つけた。デジタルの1と0という信号をアナログノイズから切り離す回路で、まぁ、電源の必要な接続ケーブルといったところ。あれこれ見てみると、音質改善効果が高い、という方向で評判がいいようだが、あるサイトで見た完成品は、正直いって信じられないくらい高額。正気の沙汰とも思えない。

数日後、独自のアイソレータの基板と主要なICだけを頒布してくれるサイトを見つけた。ふつう、パルス発生用にコイル(トランス)を使うが、ここでは基板上に設けられたループ状パターンが空芯トランスとして機能するという「お気楽アイソ」。面白そうだ。しかもお値段は800円と激安。他のパーツを買っても2000円台で出来そうな予感。ネットでは、上記の高額アイソよりもいい、という意見も。

問題は、これまで殆ど未経験の細かいハンダ付けだが、「800円なら、もし失敗しても・・・」という良からぬ囁きが聞こえ、予備も含めて2セット購入してみた(またしても直後に売り切れ)。

しばらく後、必要なパーツを買い求め、基板への部品実装は1時間弱という、私にしては画期的スピードで完成。
大きさの比較のためつまようじを置いてみた。私の肉眼では品番すら読めない大きさのICの足や、2mm角程度のチップコンデンサなど、眼球が痙攣するくらい細かいハンダ付けに戸惑ったが、慣れれば結構出来る。

電源は、ジャンクの山から掘り出したアダプタのプラグを切り取り、デジタル入出力は映像用ケーブルを1本、適当な長さに切って直付け。

繋いだ結果、音質は、更にくっきりと輪郭が鮮明になった・・・・ような気がする・・・・かもしれない・・・・が・・・・微妙だったり・・・・。

オーディオ機器を作る 又

このエントリが『パイプのけむり』のように続いたら、それはとても幸せかな、などと不遜この上ないことを考えつつ。

ここまでメインに使ってきたオーディオ機器は、バブル絶頂期に購入した普通に高級な「ピュアオーディオ」マシン。世の趨勢か、後継機種が出ず、「最後のピュアオーディオ」とでもいうべきマシンで、いつも音楽を聴いていた。

アンプは金沢の湿度にやられ、いくつかのスイッチに「ガリ」が出るようになり、CDPは、稼動部分のゴムパーツがいかれた。こんなトラブルのたびになんとか修理をし、「端整」と評するのがふさわしい音を鳴らし続けた。

ところが、アンプを真空管(TU-879S with KT88)に変えると、「音の広がり」に驚嘆した。従前の石のアンプで出てくる音は、二つのスピーカの間にピタッと定位し、額に入れた絵のようにくっきりとした二次元的な音像だ。これに対して球から出る音は、奥行きが顕著だ。三次元というと大げさだが、自分の耳からスピーカの向こうの壁まで、音が広がっている。どちらも良い音だが、あきらかに石とは違う球の音は、非常に魅力的だ。

すると今度は、球のアンプから出る音をより良くするにはどうすればいいか、と考え、DAコンバータを変えるという方法を試すことにした。
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続々・オーディオ機器を作る

エレキットのアンプは、半田ごてさえ使えれば、本当に誰でも作ることができると思う。よく考えられた製品で、作り易いだけでなく音質も優れているから、真空管アンプの自作に挑戦したいという向きには第一のお薦めだ。もっとも、プリント基板への半田付けは細かい手作業だから、この点だけは事前に練習したほうがよい。

だが、比較的容易に高い完成度を狙えるプリント基盤使用のキットは、いくつ作っても回路の勉強にはならない。極論すれば、回路図を一切読めなくても、親切なマニュアルと基板上の印刷を頼りに部品を取りつけていけば、完成させることができる。これはこれで、「作る楽しみ」と「完成させる満足感」、そして「使う喜び」を体験できる貴重なしくみ、仕掛けなのだが、どうも物足りなく感じるのも事実。古典的な真空管アンプの作法、「手配線」こそ漢のアンプという気がしないでもない。

ケースの内部に見えるソケットやトランスの端子をうまく使い、足りないところは最小限のラグ板を固定し、スズメッキ線や色分けしたリード線で、まさに理路整然と配線していく。理路整然じゃないと、見た目が悪いだけじゃなく、かなりの高確率でノイズを拾い、最悪、アンプとして使い物にならなくなる。プリント基板よりはるかに難しいことは間違いないが、難しい分だけ余計に挑戦する価値がありそうだ。

プリント基盤タイプには、それなりの自信がある。が、手配線は未経験だから、とにかく作って経験値を上げなければ始まらない。

で、夏休み開けが締切の面倒な仕事が片付いた10月のある日、秋葉原の春日無線が出しているこんなキットを取り寄せてみた。穴あけ加工済のケースとパーツ一式、それに親切な説明書がすぐに届いた。6BM8というテレビ用の複合管をchあたり一本使った小さなアンプ。回路図を熟読し、実体配線図でイメージを固めてから作製にかかった。部品点数が少ないので、初めてでもなんとか組み立てられる。4時間弱で完成し、わくわくしながら通電するが、音が出ない。慌ててコンセントを抜き、回路図と自分の配線を見比べるが、原因が分からない。するととたんに疲れが出て、その日の作業は打ち切りに。翌朝、コーヒーを飲みながら自分の配線を再度チェックして、ガックリきた。アース回路で二ヶ所、半田付けをしていなかった。これでは動くはずがない。ササッと半田付けし、改めて試運転。アルテック404-8Aから、きれいな音が出てきた。ノイズは全く聞こえない。「慣らし」に時間のかかるロシア製の真空管だから、最初は薄っぺらくて色気のない音だが、見る見るうちに音の透明度が上がっていく。部品配置など、とても恥ずかしくて写真も撮っていないが、初めての手配線はなんとか成功し、魅力的なサブアンプが完成した。

続・オーディオ機器を作る

404-8Aという、ちょっとした憧れの的だったユニットが手に入ったのはいいが、箱については本当に考えていなかったから、正直途方に暮れた。自慢じゃないが(確かに自慢にゃならんな)、木材加工は下手だ。エンクロージャ用に寸分の狂いもなく加工しなければならないとなると、電動工具なしでは無理だし、工具を買い込んでいたら完成品を買う方が絶対に安い。

それにエンクロージャの場合、木工ボンドで接着し、1日から2日、狂いが出ないように細工をして乾燥させる。が、この1日から2日という時間が、私にとっては非常に苦痛になる。物を作る時は、一気呵成にやってしまいたい質なのだ。テンションの高いうちは、疲れていても集中力が続き、ミスも少ない。しかし、一度集中力が切れてしまうと、「再充電」にはどれくらい時間がかかるか、わからない。

結果、材木(カット済みを含む)を調達し、箱を組み立てるのは、あまり自分向きとは思えず、404に良く合う箱の完成品を探すことにした。そして、自作オーディオ関連の通販で圧倒的なシェアを持つ「キット屋」さんに、丁度いいWE標準箱があることがわかり(私の購入直後、製造者の都合でラインナップから消えてしまったのは残念)、早速注文した。
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オーディオ機器を作る

TU-879Sの箱を眺めている頃、甲府の、その手の趣味のある人(そういう意味ではないぞ>奥一同)には著名な電器店に、スピーカのキットを注文した。ウッドコーンという新技術と、それを用いたユニットを2Wayにしたキットが発売されるということを、なにかの雑誌で読んで非常に気になっていた。

随分人気がある商品らしく、しばらく待たされたが、梅雨のある日、とうとう入荷した。これはキットといっても至って簡単なもので、ネットワークのハンダ付けが少々面倒かな、という程度。事前にネットワークのアレンジに関する情報も仕入れていたから、先ずは組んで鳴らしてみることにした。最初の音出しでは「なんだこりゃ?」ってくらいくぐもった、訳のわからない音が出たが、見る間に霧が晴れるように音が透明になっていく。ユニット、ケーブル、そしてネットワーク素子が、単なる部品から音響機器に変化していくのだろう。1時間もすると(耳がバカになるせいもあるが)、非常に聴きやすい、ヌケのいい高音とサイズからは考えられない低音を出し始める。これまでメインだったNS-1classicsの音が物足りなく感じられるのだから、人間という奴は贅沢だ。

間もなくアキバでパーツを買い、ネットワークとアンプに簡単な改造を施す。
ネットワークの変更でスピーカは、低域のスピード感が上がり、高域も伸びが良くなったように感じられる。アンプは、カップリングコンデンサを評判の高級品に交換したのだが、低音の迫力が明らかに増した。この低音、好みの別れるところだろうが、私には非常に心地よい。
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音楽との接し方

夏頃からこんな雑誌こんな雑誌を定期購読している。今から30年以上前、『初歩のラジオ』という、「これが初歩だったら応用は一体どこまで行っちまうんだ!」ってくらいハイレベルな記事が山盛りの雑誌を読んでいた。勿論理解などできる筈もなく、たまに本当に初歩向けの製作記事の通りに何か作ろうとして、ほとんど失敗するような、今から思えば、将来文系に進むことを予感させる少年時代を過ごした。

でも『初歩のラジオ』を読んで、HiFiオーディオという存在を知り、お年玉を貯めて、ケンクラフト(現在のケンウッド)のプリアンプキットを買った。結局プロの手を借りたが、完成したアンプは何年も私の勉強部屋の一角に座を占めていた。

高校、大学と文系に進み、演奏と鑑賞を趣味の両輪とする放蕩な生活を続けたが、自作オーディオに戻ることはなかった。財力が問題だった。大学専任者になるとまもなくPCの自作を始め、実用性を重視しつつ「作る」楽しみを味わう生活に落ち着いた。音楽は、MIDIと編曲、手兵の吹奏楽部を指揮してのオリジナルアレンジ作品自演という、音大も出ていない素人では普通できないような贅沢が可能であり、毎年、寒い季節になると棒を持って部室に出入りしていた。

音楽活動環境(と友人関係、食べ物等々)には恵まれた金沢生活が終わり、知り人ひとりいない甲府に移ると、「趣味」の質的低下は決定的となった。その上、父を亡くし、精神的に疲れ切った夏の始め、何かのはずみに、『初歩のラジオ』を読みふけっていたころの憧れを思い出した。

真空管アンプ

トランジスタやIC、LSIが出現する基礎となった真空管による増幅技術は、ラジオ、テレビ、初期のコンピュータを世に送ったが、先進国では真空管の生産などとっくに終わっていた。だが、『初歩のラジオ』で読んだ高圧、高温のガラス製部品を使ったアンプは、色褪せるどころか、手の届く現実として蘇った。主としてPCを目的に歩き回ることの多かった秋葉原に、そういった機器を扱う小店が沢山ある(あった)ことは分かっている。まだ雑誌も何点か発行されている。ネットのおかげで、キットの購入などいとも簡単だ。そう思ったら矢も楯もたまらず、一台のアンプキットを注文していた。
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