も一つオーディオ機器を作る

『農薬餃子』のニュースを見るたび、自慢の手作り餃子を作らなくなって久しい、と感慨に浸っている。メタミドホスとは何物だ?。パラ○○○なら会津の実家にも一瓶転がっていたが・・・(←おいっ!)

木曜から、しばらく、その会津に戻る予定。あまり楽しくない帰省になる。

憧れの送信管アンプ(その1)

ネットでアンプのパーツを購入するようになった。これまでネット通販といえば、本かCD、DVD、PCのソフトくらいだったが、オークションを覗いてみると、なかなか楽しいパーツも売りに出ている。

リビングの主要増幅器として頑張るTU-879S with KT88の初段に使う、12AX7という真空管がある。秋葉で国産の中古を買って、キットについてきた現行のロシア球と交換してみたところ、音の厚みが増したような感じだが、高音域が荒れることがある。状態の良くない球だったか。で、代わりの球を探していたら、ネットで旧東ドイツ製の同等管を入手できた。しかも1,000円未満で。早速差し替え、しばらく鳴らしてみると、高域の荒れもなく、中低音の厚みが出てきた。理想的だ。この球を扱っている方とメールでやり取りしているうちに、大変に高性能な旧ソ連製真空管を譲ってもらえることになった。

オーディオアンプに使う真空管は数々ある。私が使っているKT88はビーム管(傍熱管)といい、大出力が狙える高性能管だ。二号機に使っているのは6BM8という、本来はテレビ用の傍熱複合管。小さな管からは想像できない豊かな音が出る。こうした球が出てくる以前からオーディオの世界で重用された真空管が、2A3と300Bという直熱三極管だ。前者はRCA、後者はWesternElectricが開発し、電蓄から高級アンプにまで幅広く使われた。両者とも、開発元は真空管製造から手を引いてしまい(西側先進国の電機メーカーは、もうどこも真空管を作っていない)、現在はロシア、中国で同一規格の製品が作られているが、わずかに市場に出まわる本家の製品とは似て非なるものらしい。それに本家の未使用品になると、投機の対象になっているのか、本家WE300Bが中国製の20倍以上という、異様な価格で取引されることも。とても手が出ない。

ロシア製でもいいから、2A3か300Bのシングルアンプを手配線で作ってみたい、と考えるようになった。プリント基板ではない、手配線というやり方は、かなり古典的で、基板が使えるならその方が絶対に完成度が高い。だが、回路の知識が乏しい文系の私には、プリント基板は何枚作っても、何も分からない。所定の位置に部品をハンダ付けすることは楽しいが、「いま付けた抵抗の働きは」と問われたら、多分分からない。手配線だと、どの部品がどの部品と繋がるか、回路図を見ながら作業することになり(キットなら有り難い実体配線図もあるが)、何台か作れば、自然と回路の中身が見えてくる。それに手配線だと、いかにも骨太な「漢の増幅器」って感じがして好ましい。

キット屋さんで、2A3も300Bも、手配線のキットを出しているから、どちらかを作って手配線のスキルを高めよう、そう考えていたとき、上述の高性能真空管の話を伺った。球は6B4Gといい、2A3のフィラメント電圧(2.5V)を真空管としては標準的な6.3Vにした互換球だ。ソケットのタイプ(2A3は4ピン、6B4Gは8ピン)とフィラメント電圧を変えることができれば、差し替えて使える、ということ。

ロシア球屋のFさんの扱う真空管は、高性能で低価格という、このご時世に夢みたいな商品ばかり。6B4Gと前段に使う候補球二種類、そして整流管をまとめて購入した。アメ球の数分の一程度の価格だった。Fさんによると旧ソ連では、アメリカ製と同規格、というよりむしろ上位互換製品を競って作っていたという。ケネディとフルシチョフのロケット開発競争と同じ軸線上にある話だ。しかも民生向けではなく(ソ連に民生なんて言葉はないか)軍用に作られた、極めて丈夫で性能のいい製品が、国家体制が変わって随分たった今ごろになっても、流れ出してくるらしいのだ。6B4Gに続いて、WE328A互換球、WE311A互換球も入ってくるということで、これも予約した。300Bの前段や、独立したプリアンプを作ったら楽しいに違いない。

ところが、だ。ネットで6B4Gシングル用の適当な回路図もみつけ、パーツを集めにかかろうか、というところで、おなじみのキット屋さんの商品に関して、嬉しくない話を聞き込んだ。店主の大橋氏には、購入した商品について何度かメールで教えていただいたこともあり、早速、単刀直入に疑問点をぶつけてみた。

大橋氏はすぐに返事を下さった。話は本当だった。キット屋さんのラインナップで私が一番作りたいと思っている商品が、早晩製造中止になる、というのだ。自分の今の技量では、その完全手配線のキットを作ることは難しい。だから手配線のスキルを上げるため、当初はキット、次に6B4Gで自作、という方針を立てた。ところが、スキルを上げた先の目標が消えてしまう。諦めるのか、それとも無謀な挑戦をするのか。迷う時間はあまり残されていなかった。
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