摘発 ワンクリ詐欺

スラッシュドットジャパンより

読売朝日が報じているが、大阪市内のインターネットサービス業者らが、詐欺と児童ポルノ禁止法違反の疑いで逮捕された。

容疑者らは、児童ポルノを掲載したサイトへのリンクを仕込んだメールを無差別に送信し、
昨年7月と今年1月、サイトに接続して少女の画像をクリックした岡山県内の会社員(37)ら2人に、「会員契約した」などとして、入会料や退会料を3日以内に振り込むよう請求メールを送り、計6万5000円をだまし取った疑い
が持たれている。典型的なワンクリ詐欺である。

上の記事から察するに、画像をクリックした結果、「貴方のIPアドレスは・・・・・」などというユーザーの接続情報、例えば
2006年 06月 07日 PM  21時 30分 28秒
現在接続している場所(現IP)  219.xx.xxx.55
クライアントホスト名  b-fa1-3055.noc.ntt-xxxx.xxxx.ne.jp
サポート言語  ja,en-us;q=0.7,en;q=0.3
ポート番号  1173
使用ブラウザ  Mozilla/5.0 (Windows; U; Windows NT 5.1; ja; rv:1.8.0.4) Gecko/20060508 Firefox/1.5.0.4
MIMEの仕様  text/xml,application/xml,・・・・・・・・(一部伏せ字)
のような画面を見せ、 「接続しているプロバイダや会社から個人を割り出す」など、あたかも個人が特定できるかのような文言を並べて、金員を要求したものと思われる。

はっきり言うが、上の程度の接続情報なら、ネットの仕組みを1週間勉強すれば誰でも取得できる。現実に上のデータは、私がこのエントリを書いているPCの接続情報を、「チョイチョイ」と取り出したものだ。そしてこんな情報から、裁判所の令状を持たない一般人が、接続している個人を特定するなんてことは絶対にできない。詐欺犯らが握っている情報は、最大でもメールアドレスまで。メールアドレスが特定されている場合は、支払いを要求するメールがしつこく打ち込まれることになる。が、この段階から個人を特定することも凡そ不可能に近いだろう。被害者がメールや電話で自身の情報を伝えない限り、詐欺犯らは、実は手も足も出ないのだ。

特定商取引法及び経済産業省令(経済産業省のHP)では、インターネットを用いた商取引に際し、「有料の申し込みとなることを容易に認識できる表示」と「申し込みの内容を容易に確認し、かつ訂正できる措置」を必要としている。要するに「ここから先は有料ですよ」という画面に続いて、「本当に有料ですよ、いいんですね」という画面がなければ、違法と考えて差し支えない。

今回摘発されたクズ共の仕掛けたトラップでは、恐らく、写真のサムネイルをクリックした途端、「登録しました、○○○○○円振り込め」という画面が表示されたのであろうと思われる。これでは、商取引として成立していないのだから、びた一文払う必要はない。

上記新聞記事によると、容疑者らは、匿名性の高い米国のサーバーにサイトを設置し、これまたspam中継の世界的中心地となっている韓国のサーバーを経由してメールを流していたらしい。そして、1億8000万通以上のメールを投げまくり、
約2600人から計約7500万円を詐取した
という。そして容疑者は
「100万通のメールを送ると、10人から20人が不安になって金を振り込んできた」
と供述しているとか。腹立たしいのは、1億8000万通のメールの大半が、スケベ心も好奇心も刺激されなかった圧倒的多数のネットユーザーにとっては、忌々しいことこの上ない大量のspamとして、ただひたすら迷惑だったということだ。

こんな話を聞くたびに、人権派の皆々様には申し訳ないが、厳罰化の一層の推進を期待したくなる。

棄民

痛ましい判決が出た。
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痛ましく、残念ながら予想通りの判決だった。

判決は、問題の移民政策を国策だったとした上で、
入植地の農業適性や面積、所有権の有無などについて「現地調査や情報提供をする義務を尽くさなかった」と、国家賠償法上の賠償責任を認めた。
この認定は非常に重要である。

しかし、除斥期間の壁を破ることができなかった。
第724条(不法行為による損害賠償請求権の期間の制限)
不法行為による損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から三年間行使しないときは、時効によって消滅する。不法行為の時から二十年を経過したときも、同様とする。
最近の公害病訴訟では、不法行為が継続していた、という論法で除斥期間の始期を引き寄せて、被害者の救済を進める傾向が見られる。が、今回の訴訟では、国と「日本海外協会連合会」(現JICA)が原告たちをドミニカに送り出した(更に厳密にいえば原告が移民することを決意し、「日本海外協会連合会」との契約を締結した)時点で、事前の調査や説明義務を怠ったという不法行為は終了している。最も遅い時点でも、原告たちが現地に到着し、当初の説明とは異なる環境しか与えられないと知った段階で、不法行為は完結したといえよう。正に「棄民」そのものである。原告らが棄てられた時に不法行為は完結してしまった。50年も前のことである。

当然、原告弁護団は控訴するという。控訴審で原審を覆すためには、原告らが提訴したときから遡って20年前の時点まで、実質的に損害賠償請求権を行使しえなかったことを立証する必要がある。しかし、これは難しいと思われる。

今朝見たテレビで、原告の一人は「祖国を訴えること」への抵抗感を語っていた。切なすぎる。国は、潔く非を認め、控訴審の弁論など待つことなく、可及的速やかに被害者を救済して、この紛争を主体的に解決すべきである。それが、自分たちを棄てた無慈悲な国を、まだ「祖国」と呼んでくれる人々にできる、唯一の償いである。
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