楽しい訪問客

昨日のことだ。

この春に卒業したK嬢が、私の好物のきんつばを持って研究室に現われた。彼女はゼミ生ではなかったが、よく顔を出していて「準常連」といったところ。セミロングの髪がよく似合う可愛らしいお嬢さんだ。卒業後は、市内の弁護士事務所で働いている。わずか数ヶ月しか勤めていないのに、切手のことを郵券と表現するあたり、すっかり業界に染まっているようだ。その彼女の話が、まさに絶妙だった。

私は面識がないのだが、彼女の事務所の先生は、かなりの有名人らしい。彼女によると、
足のご不自由な老先生で彼女が介添えすることも
ふむふむ
生活の苦しい依頼人からはお金を取らないから、経営が心配
ほほう
でも手ぶらで来た依頼人には、あとから「菓子くらい持ってくるのが当然だろ」とぶつぶつ
へぇ〜
先日、間違いを認めない判事に業を煮やして裁判所に乗り込んだ
おやおや
その判事に「もうすぐ祭りだから、それを見たら判事を辞めて国に帰れ!」と怒鳴った
おぃ、猪狩文助(和久峻三の作品に登場する型破りな弁護士。興味のおありの向きはググられたい)か?
弁護士会の集まりでも怒鳴ってる
おいおい・・・・
怖いって評判で、修習生も来ない
ちょっとまずくないか?
4階建の事務所は歴史があって、出来た当時は市内で一番豪華だったらしい
なるほど
でも古いからかなり汚い
ありぁま
先日、工事の業者さんが来た。で、「髪の長い女の人が上がってきたんですけど」って言われた。そのとき私一人しかいなかったのに
お、おぃ!、作ってないか?
一人で水回りにいると、物凄く強い視線を感じることがある
だ、だから、ネタだよな、おぃ
先代の先生に関係のあった女性が憑いちゃってるらしい
ま、まじっ?
先生はチャンバラが好きで、前の晩に見た時代劇の真似をする。『座頭市』や『木枯らし紋次郎』がお気に入りなんだけど、私以外のスタッフはみんな無視してる
なんだかよくわからなくなってきた・・・

一度お目にかかってみたい、魅力的な先生だ。お名前くらいは存じあげているし、事務所の場所もわかる。だが、いまのところ実務の先生に相談したい話題もないし、さて、どうしたものか。

午後2時から話し始めて、気がついたらもう夕方。久し振りに楽しい話題をいっぱいの訪問者だった。もちろんきんつばは美味しかったよ。ごちそうさま。事務所の文献が古くて仕事に障る、と嘆いているので、模範六法と先日まで某所で使っていたコンパクト六法をあげたら喜んでくれた。役に立つなら嬉しいよ。新しい六法が欲しくなったらまたおいで。

スクーリング終了後の近況

月曜から本務校の研究室に戻りました。来月半ば、研究発表を仰せつかっているので、その準備に全力を傾注する必要があるのですが、ほとんどの時間、曽村先生の遺作となった論文を読んでいます。そう長いものでもないのですが、とても奥の深い文章であることと、一文読むごとに在りし日のお姿を思い出して手が止まってしまうのとで、全然進みません。

結局、昨年とは大違いで、スクーリング中の出来事を何一つアップせず、ついには催促のメッセージを頂く始末。灰皿付近で毎日繰り返された楽しい会話など、いろいろありましたが・・・・、御勘弁下さい>各位

とはいえ今年のスクーリングでは、例年にはなかった嬉しい出来事もありました。以前に法学を受講された方、お二人から「必要単位を充足しあとは卒論を残すのみ」というお話しをうかがったのです。大変なご苦労の果てにここまで漕ぎ着けられたことに、心からなる敬意を表します。

今日の午前中、研究室に、今年の答案が届きました。頻繁な来客の応対もそこそこに、夕方までかけてまずは一科目分、採点を終えました。結果は、多分・・。

原簿への転記も終えたところで、その科目の皆さんが書いて下さったメッセージを拝読しました。反省点ばかりの講義に過分なお言葉を頂戴し、また講義改善に有用な貴重なご意見も頂きました。私の健康まで気遣って下さった方々、本当にご心配をおかけしましたが、無事に本務校に戻り仕事を始めています。ありがとうございました。

もう一科目分も、早ければ明日にも採点を済ませ、メッセージを見せていただこうと思っています。

鴻儒曽村保信先生の長逝を悼む

国際政治学の泰斗、曽村保信先生には、去る7月20日、薬石効なく不帰の客となられたり。突然の悲報に接し痛惜措くあたわず、御鴻恩に謝せんと欲すれども茫として片言も発し得ず。かつて拝領せし名著典籍の数々を手に取りては、在りし日の御温顔を思い、御病床に参じ得ざりしことを憾めども益なし。

悲報より一月を閲し、明日、漸う御霊前に膝行するの秋を得たり。御健在ならば、親しく御高説を拝し、歓談に時を忘るべき夏の休日に、もはや物言われぬ御遺影を拝する悲痛、筆舌に尽し難し。悲哉。

近況

またぞろ、更新が滞ってしまいました。
体調は既に回復していますが、先月下旬、非常に悲しい出来事があり、以来、もともと乏しいヤル気が完全に消失した状態です。

「悲しい出来事」については、落ち着いたら書こうと思っています。

今日、これから会津に移動し、そのまま「夏巡業」に出ます。

度々、ここに様子を見に来て下さる諸賢には、ご心配をおかけしました。
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