ほんに今宵は節分か

早くも一月終わってしまったかと思うと、北寄りの風が一層身に凍みる今日この頃。相変わらず処理能力の低さに起因する忙しさと二人三脚です。

1日、日曜は、山梨交響楽団のニューイヤーコンサートに出かけました。実力よりちょっと上の楽曲をコアに技量の向上を狙うのは大賛成。流行りモノのラフマニノフを弾いたのは、予定していたソリストの急病による代役で、濱野与志男。芸大1年、若干19才の俊英は、荒削りながら大器の片鱗を伺わせるダイナミックな音楽を聴かせてくれました。大収穫といって良いでしょう。後半には親しみのある小品が並び、クラシックに馴染みのない方でも楽しめたのでは。「鍛冶屋のポルカ」「雷鳴と電光」は、かつて手兵と演奏したことを思い出して懐かしく聴きました。

コンサートが終わってまもなく、午後5時からゼミの追いコン。変則的な時間から開催となりましたが、3年生が主催し、4年生との名残を惜しむ席が持てて、正直ほっとしました。ゼミが軌道に乗るのは確実です。

明けて2日は朝の6時20分に学校集合。山梨地本の計らいで、ゼミ生の希望者を市ヶ谷と目黒の駐屯地に連れて行っていただくことに。当然私は引率ですが、いくら歳のせいで朝が早くなったとはいえ、東の稜線が茜色に染まるのを見ながら出校するとは、夢にも思いませんでした。何度お邪魔したかわからない市ヶ谷記念館を、何度でも楽しく見学し、庁舎の見学に続いて陸自の幹部を表敬。目黒でも空幹校、海幹校の幹部を表敬し、かつては大和の構造試験をしたという大水槽まで見学させてもらいました。

今日は一日事務仕事。へとへとになって帰り着いたら、今日が節分だということを思い出しました。いかにも窒息しそうな物の喰い方は性に合わず、猫舎の猫たちに鬼を払って福を招いてもらいましょう。
猫舎の猫たちを出したのはつい先日のことで、甲府に来て初めて。金沢では月ごとに変えていたのが、すっかりご無沙汰になっていました。懐かしさついでに旧HPのデータを掘り出して来ました。

月も朧に白魚の篝も霞む春の空、つめたい風もほろ酔いに心持ち良く浮か浮かと、浮れ烏の只一羽、塒へ帰る川端で、竿の雫か濡手で粟、思ひがけなく手に入る百両。
(「おん厄払ひませう、厄落し、厄落し」)
ほんに今夜は節分か、西の海より川の中、落ちた夜鷹は厄落し、豆澤山に一文の銭と違つて金包み、こいつぁ春から縁起がいゝわえ。
       
『三人吉三廓初買』二幕目大川端庚申塚の場より

 刀剣商木屋の手代、十三郎が落とした百両の金を、十三郎の相手をしていた夜鷹おとせが拾い、十三郎に返そうと大川端を急ぐ。そこに女装の盗賊お嬢吉三が現れ、おとせを斬り殺して死体を川に突き落とし、金を奪う場面の名台詞。最後の「こいつぁ春から・・・」はあまりにも有名。黙阿弥の真骨頂ともいえる長台詞の中に、江戸末期の節分の風俗が見える。
 厄払いは、大晦日や節分の夜に街に現れる一種の物売り、遊芸者で、客の求めに応じて縁起のいい言葉を並べ立て、厄を「西の海」すなわち西方浄土に流し去るという。代金は、歳の数の追難の豆に一文を加えて、紙に包んで渡したという。
 それにしても、追難の豆を撒いたり食べたりするくらいでは、今身辺に纏わり着く厄を払いきるのは難しそうだ。ネットの上でも実生活と同様に、「鬼は外!、福は内!」。

さぁ、厄は払った!。この記事を読んだ方の厄も、上の猫たちが本気で追い払ってくれました。明日から春です。がんばりましょう。
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