石川県吹奏楽連盟他主催の『吹奏楽の祭典』を聴きに行った。知り合いのお嬢さんが参加するということで、入場券を頂き、OGのS嬢とともに、数年前にオープンしたシューボックス型ホール*1に向かう。入口で200円払ってプログラムを買い、今回の出場団体に関する情報を仕入れるが、開場15分で平土間も2階正面席もいっぱい。止むなく3階の側面席を確保*2。
出場するのは、吹奏楽コンクール北陸大会で金賞を受賞した中高4校ずつと、中学生の選抜バンド。最初の中学校がステージに登場した時点で、既に我が目を疑う。そしてプログラムを見直す。出場するのはすべて公立の学校。なのにステージ上には、私の月給の数ヶ月分もしそうな高価な楽器がずらり。これだけで、石川県というところの文化に対する意気込みを感じる*3。
演奏は、水際立って、それは見事なもの。まぁ、私はコンクールが好きじゃないので、審査員的な批評は慎むが、良くトレーニングされたメンバーが、単なる軽業にとどまらない音楽的な内容を目指していることが伝わってくる、一言でいって素晴らしい演奏だった。
件のお嬢さんは3番目の出場団体。最初の学校と、この3番目の学校が、先日行われた全国大会に出場した。他の2校は、俗に言う「ダメ金」だったのだが、その差は歴然としている。音が全然違うのだ。他の2校は、上手が操る楽器の音が生で飛んで来てしまうのに対し、全国出場バンドの音は、バンドとしての方向性を持った、良くブレンドされた音。指導にあたられた先生のご努力や如何ばかりか、と頭が下がる思い。もちろん、お嬢さんのいる学校の演奏も大変に素晴らしい*4。
続けて高等学校の演奏。3つ年上だというだけで、こんなに大人びた演奏になるのかと、また驚く。ここでは、全国大会の常連である工業高校の演奏を楽しみにしていた。予想以上に凄い。続いて登場したのは、今年全国に初出場した普通科の高校。これは全然違うカラーだが、やはり凄い。人口100万の県で、こんなに凄い吹奏楽部を擁する学校がごろごろしている。この土地は一体、どういうところなのだろうか。
それにしても、出場8団体のすべてに共通するのだが、男子生徒が殆どいない。最も重たいチューバを軽々と操る、決して大柄とはいえない女子生徒を何人も見て、認識が変わる。だが、これが「Swing Girls」効果だとしたら、ちょっと嫌かも*5。
最後に中学生選抜バンドの演奏。これはさすがに練習時間が少ないせいで纏まりを欠く。でも最後のプログラム「ディスコ・キッド」は、巧拙の問題抜きで楽しかった。1977年の課題曲。私も、田舎の中学校で、自分たちの実力を遥かに越えるこの曲に挑み、とてもじゃないが人様に聴かせられるような演奏はできなかったことを思い出す。でもこの土地の中学生たちは、立ったり座ったり、演奏しながら楽器を振ったり、軽々と、しかも実に楽しそうに吹きこなしている。この実力の差はどこから来るのか。
今日のタイトル「学校教育と吹奏楽」。私はこんなことを考えていない、という程度の意味。