2008.03.28 金曜日 20:57
中庸なき国
殺伐としたニュースが後を絶たない。加害者にいかほどの苦悩があったか知らないが、あまりに重大な結果はあまりに唐突に現れた感がある。
沖縄戦集団自決訴訟判決要旨を読むと、やはり唐突な、中間省略的な空気を感じる。以前のエントリでも書いたが、裁判というシステムの制約上、白黒をつけざるを得ないとはいえ、こんな問題を法廷に持ち出さなければならないというのは、歴史学の貧困に起因するとも言える。皇国史観が一夜で吹き飛び、怒涛のごとく押し寄せた唯物史観が雲霞のごとく空を暗くした時代、新旧両極端な思想的バイアスをもってひとつの事象を見たら、どうなるか。いずれにも与しない理性的、合理的な発想は、右からも左からも攻撃された。
判決は白黒をつけたが、本件について、なんらの解決をもたらすものではない。真実は(おそらく)白でも黒でもなく、濃い灰色のなかに白い点があったり、白い塊の中に黒っぽいしみがあったりするのだろう。
在宅時はもっぱら、音楽を流しているから、テレビの視聴時間がどんどん減っている。当然、観てはいないのだが、TBSがとんでない番組を流したらしい。会津若松市長が抗議文を発表した。
TBSが流したクイズ番組は、戊辰戦争最大の籠城戦である鶴ヶ城攻防戦について、会津藩が降伏したのは城内でし尿の処理ができなかったから、との珍説を正解にした、というのだ。2ヶ月の籠城の間、雨あられと襲いかかる砲弾の下ではし尿の運び出しなどできるはずもなく、城内に穴を掘って投棄した、といった話を、籠城経験者からの聞き書きなどで読んだ記憶がある。出題者はおそらく、そのへんの話を中途半端に聞きかじり、「正解」を作り上げたのだろう。
自分の目先にあるものだけですべてを決することができるほど、この世の中はシンプルではない。深く考えなくても目に飛び込んでくるようなことは、往々にして極論だ。
沖縄戦集団自決訴訟判決要旨を読むと、やはり唐突な、中間省略的な空気を感じる。以前のエントリでも書いたが、裁判というシステムの制約上、白黒をつけざるを得ないとはいえ、こんな問題を法廷に持ち出さなければならないというのは、歴史学の貧困に起因するとも言える。皇国史観が一夜で吹き飛び、怒涛のごとく押し寄せた唯物史観が雲霞のごとく空を暗くした時代、新旧両極端な思想的バイアスをもってひとつの事象を見たら、どうなるか。いずれにも与しない理性的、合理的な発想は、右からも左からも攻撃された。
判決は白黒をつけたが、本件について、なんらの解決をもたらすものではない。真実は(おそらく)白でも黒でもなく、濃い灰色のなかに白い点があったり、白い塊の中に黒っぽいしみがあったりするのだろう。
在宅時はもっぱら、音楽を流しているから、テレビの視聴時間がどんどん減っている。当然、観てはいないのだが、TBSがとんでない番組を流したらしい。会津若松市長が抗議文を発表した。
TBSが流したクイズ番組は、戊辰戦争最大の籠城戦である鶴ヶ城攻防戦について、会津藩が降伏したのは城内でし尿の処理ができなかったから、との珍説を正解にした、というのだ。2ヶ月の籠城の間、雨あられと襲いかかる砲弾の下ではし尿の運び出しなどできるはずもなく、城内に穴を掘って投棄した、といった話を、籠城経験者からの聞き書きなどで読んだ記憶がある。出題者はおそらく、そのへんの話を中途半端に聞きかじり、「正解」を作り上げたのだろう。
自分の目先にあるものだけですべてを決することができるほど、この世の中はシンプルではない。深く考えなくても目に飛び込んでくるようなことは、往々にして極論だ。
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