2006.05.27 土曜日 14:51
オイオイ・・・
最近の主要なニューソースであるスラッシュドット・ジャパンより
産経新聞の記事によると、
整理してみるとこんな感じになる。
1953年に公開された映画「ローマの休日」の著作権は、(改正前の)著作権法で50年間存続が認められ、2003年12月31日に満了するはずだった。ところが著作権法が改正されて映画の著作権存続期間が70年に延長され、改正法は2004年1月1日から施行されることとなった。
ところが文化庁は、
関係条文を示そう。
今回の問題は、文化庁が示した「十二月三十一日二十四時と、改正法施行の一月一日零時は同時」という解釈の当否である。著作権法附則(平成15年法58号)第2条は、改正法施行時点、すなわち2004年1月1日に「著作権が存する著作物」に対して、改正後の70年の存続期間を認めることを明示している。期間の計算について、著作権法は別段の定めを置かないから、一般法たる民法の適用を受けるが、140条141条を「素直に」読めば、2003年12月31日の終了を以って1953年公開の映画の著作権は消滅したと読むしかない。文化庁のいう「終期と始期が同時」という解釈を通したいなら、その旨を経過法に定めるか、別に期間計算の条文を置かなければならないだろう。
連続する二つの「日」に「同時」という重なりが存在するという理解が可能であるとすると、たとえば法改正の際、新旧両法が同時に有効であるという事態が生じる。数学的に考えても、時間には連続性があり断絶はなくても、重複は有り得ない。
結局文化庁の解釈は、法改正の際に経過法を置かなかったという「失態」を糊塗するために、暦によって(日の単位で) 計算すべき期限終期に、法が予定していない時間の概念をねじ込んで、1953年公開の映画作品すべてに新法を適用しようとした非常に無理なものである、と断じざるを得ない。
53年には、「シェーン」「宇宙戦争」「東京物語」など、今日でも評価の高い名作が並んでいるというから、これらが廉価版で購入できるかどうかは、今回の裁判にかかっている。裁判所の判断が待たれる。
産経新聞の記事によると、
名画「ローマの休日」の著作権所有を主張する「パラマウント・ピクチャーズ・コーポレーション」が、同作の激安ソフトを販売する会社に販売差し止めを求める仮処分を東京地裁に申請していたことが二十四日、分かった。同作などが公開された昭和二十八(一九五三)年は、著作権の保護期間内にあるのか、期間が終了しているかが明確でない“空白の一年”で、映画の当たり年でもある。関係者の間では「五三年問題」と呼ばれ、司法判断に注目が集まっている。
整理してみるとこんな感じになる。
1953年に公開された映画「ローマの休日」の著作権は、(改正前の)著作権法で50年間存続が認められ、2003年12月31日に満了するはずだった。ところが著作権法が改正されて映画の著作権存続期間が70年に延長され、改正法は2004年1月1日から施行されることとなった。
ところが文化庁は、
二十八年映画について「保護期間の終了した十二月三十一日二十四時と、改正法施行の一月一日零時は同時」とし、「改正法の施行時は著作権の保護期間内にあり、改正法が適用される」との解釈を示したために、著作権の存続を主張するパラマウントが、安価なソフトを販売する会社を相手取り、訴訟を提起したものである。
関係条文を示そう。
著作権法
(映画の著作物の保護期間)
第五十四条
映画の著作物の著作権は、その著作物の公表後七十年(その著作物がその創作後七十年以内に公表されなかつたときは、その創作後七十年)を経過するまでの間、存続する。
2 映画の著作物の著作権がその存続期間の満了により消滅したときは、当該映画の著作物の利用に関するその原著作物の著作権は、当該映画の著作物の著作権とともに消滅したものとする。
3 前二条の規定は、映画の著作物の著作権については、適用しない。
附則 (平成一五年六月一八日法律第八五号)
(施行期日)
第一条
この法律は、平成十六年一月一日から施行する。
(映画の著作物の保護期間についての経過措置)
第二条
改正後の著作権法(次条において「新法」という。)第五十四条第一項の規定は、この法律の施行の際現に改正前の著作権法による著作権が存する映画の著作物について適用し、この法律の施行の際現に改正前の著作権法による著作権が消滅している映画の著作物については、なお従前の例による。
民法
第六章 期間の計算
(期間の計算の通則)
第百三十八条 期間の計算方法は、法令若しくは裁判上の命令に特別の定めがある場合又は法律行為に別段の定めがある場合を除き、この章の規定に従う。
(期間の起算)
第百三十九条 時間によって期間を定めたときは、その期間は、即時から起算する。
第百四十条 日、週、月又は年によって期間を定めたときは、期間の初日は、算入しない。ただし、その期間が午前零時から始まるときは、この限りでない。
(期間の満了)
第百四十一条 前条の場合には、期間は、その末日の終了をもって満了する。
第百四十二条 期間の末日が日曜日、国民の祝日に関する法律 (昭和二十三年法律第百七十八号)に規定する休日その他の休日に当たるときは、その日に取引をしない慣習がある場合に限り、期間は、その翌日に満了する。
(暦による期間の計算)
第百四十三条 週、月又は年によって期間を定めたときは、その期間は、暦に従って計算する。
2 週、月又は年の初めから期間を起算しないときは、その期間は、最後の週、月又は年においてその起算日に応当する日の前日に満了する。ただし、月又は年によって期間を定めた場合において、最後の月に応当する日がないときは、その月の末日に満了する。
(条文はすべて「法令データ提供システム」による)
今回の問題は、文化庁が示した「十二月三十一日二十四時と、改正法施行の一月一日零時は同時」という解釈の当否である。著作権法附則(平成15年法58号)第2条は、改正法施行時点、すなわち2004年1月1日に「著作権が存する著作物」に対して、改正後の70年の存続期間を認めることを明示している。期間の計算について、著作権法は別段の定めを置かないから、一般法たる民法の適用を受けるが、140条141条を「素直に」読めば、2003年12月31日の終了を以って1953年公開の映画の著作権は消滅したと読むしかない。文化庁のいう「終期と始期が同時」という解釈を通したいなら、その旨を経過法に定めるか、別に期間計算の条文を置かなければならないだろう。
連続する二つの「日」に「同時」という重なりが存在するという理解が可能であるとすると、たとえば法改正の際、新旧両法が同時に有効であるという事態が生じる。数学的に考えても、時間には連続性があり断絶はなくても、重複は有り得ない。
結局文化庁の解釈は、法改正の際に経過法を置かなかったという「失態」を糊塗するために、暦によって(日の単位で) 計算すべき期限終期に、法が予定していない時間の概念をねじ込んで、1953年公開の映画作品すべてに新法を適用しようとした非常に無理なものである、と断じざるを得ない。
53年には、「シェーン」「宇宙戦争」「東京物語」など、今日でも評価の高い名作が並んでいるというから、これらが廉価版で購入できるかどうかは、今回の裁判にかかっている。裁判所の判断が待たれる。
comments