歴史は繰り返す?

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この水準を「バブル」と呼ばれた時代に見た記憶がある。まだユーロがなかった当時、10000円札は世界最高額の紙幣だった。土地神話が株価を押し上げ、バイト暮らしの学生でも結構な贅沢ができた。景気の拡大が急激過ぎたし、土地を巡って表向き法に従わなければならないゼネコンが、裏社会の力を借りて地上げを強行したり、社会のあちこちにひずみが生じたが、それでもある瞬間まで、国民の多くに経済的恩恵があった。企業の内部保留でほとんどすべての拡大分が消えてなくなった現下の景気拡大とは根本的に異なる。たしかこのころ、日銀が円売りドル買い介入で為替操作を行ったが、以来、一度も市場への介入を実施していないという。じゃあ、何をしているのだろうか。

ITバブルが崩壊したとき、株価の大幅下落が企業の含み益を吹き飛ばし、ただでさえ可処分所得の減少に苦しんでいた国民生活に、さらに冷や水をぶっかけた。でも日銀は何もしなかった。ゼロ金利では、金利引き下げというカンフルは打てない。

アメリカに発する株式市場の暴落が、全世界経済を飲み込んでからわずかに100年。第一次大戦後のベルサイユ体制が崩れ、ナチスの軍拡がヨーロッパを焦土にする、そのきっかけは「大恐慌」とよばれる。大恐慌の影響は、金解禁直後の日本から、貴重な金の大量流出という結果で終わるが、政府、中央銀行はとうとう効果的な対策を打ち出すことはなかった。

近代日本は、何度となく不景気を乗り越えた。ただ、一度も国家の政策で立ち直ったことはない。すべて「神の見えざる手」にすがって再起した。政府、日銀が「史上最長の景気拡大」と言い募る未曾有の不景気から立ち直る日は来るのだろうか。再起するだけの体力が、国民に残っているだろうか。毎朝、経済欄に目を通すたびに悲観的になっていくのは、私だけではあるまい。
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