選挙雑感-2

◇自民大勝の余波
 比例東京ブロックでは、名簿に登載された自民の候補者が全員当選してしまい、ついに名簿登載候補が1名足りなくなったという。余滴にあずかったのは凋落著しい社民党だが、さて、自民、社民それぞれの支持者の感想は?

◇自民大勝の余波−2
 比例北関東ブロックで社民党は4名の候補をたて、1名が当選したが、当選者の順位は名簿最下位の四位。上位の三人が自民、民主の激戦の影響か、法定得票に満たなかったためだ(公選法93条1項1号、95条の2 6項)。かつて政権与党だった「社会党」という政党の存在は、もはや私の専門領域になってしまったようだ。

◇被選挙権
 多分に倫理的な問題だが、公選法11条、11条の2に規定する被選挙権の制限は、この程度でいいのだろうか。「ノー投票制」が導入されたら、随分違った結果が出そうな気もする。

さて、新しい衆議院では自民が単独で絶対安定多数を獲得し、政府は思い通りの政権運営を行う「フリーハンド」を与えられた格好になった。今後の舵取りに期待したい。
ところで、郵政も、年金も、子育ても確かに重要な問題だが、一番重要なのはやはり景気浮揚ではなかろうか。バブルが弾けて10有余年。不景気に慣れ過ぎたのか、日銀短観に騙されたのか、誰も声を大にして言わないが、国民の担税力が回復すれば、もっとおおらかに、明るい未来像を描けるはずだ。
積極的な財政政策を打ち出せなかった政府の責任は、100年後の歴史家に任せるしかないのが少々悔しい。

選挙雑感-1

自民党が歴史的勝利を収めて幕を閉じた総選挙。これについて思うことをつらつらと。

◇マニフェスト選挙
 地域への利益誘導を最大公約に掲げて土下座してみせる前時代的候補はさすがに減ったようだが、「政権公約」というものが本当に定着したかというと、答えは「No」だろう。
 A党の公約には8割賛成、B党のは6割賛成できる。そこでA党を支持しようかと思ったら、支持できない2割のなかに、死んでも許せない項目が一つあった、としたら、一体どうするだろうか。
 またしても実現しなかった「健全な二大政党制」が本物になったら、この問題が重要になるだろう。でも現時点では、こんな公約より眉間に貼った膏薬のほうが遥かに効き目がある。

◇刺客
 夏のスクーリングでちらっと話した記憶があるが、「刺客候補」などという表現は、有権者を愚弄する以外の何者でもない。自民党は「殺人者」のイメージがあるからこの表現を使うな、とマスコミに申し入れたらしいが、問題はそんなところにはない。候補者は対立候補をどうこうする地位にはないのだ。候補者の「生殺与奪」は、ひとえに有権者の専権だということを肝に銘じてほしい。それを勝手に「殺すの殺されるだの」をイメージさせる「刺客」などと表するのは、我が国の民主主義の未熟さを内外に鮮明にするだけだ。
 しかも「刺客」を「しきゃく」と発音することの多さよ。誤用が定着してしまうのは世の流れかもしれないが、「しかく」と発音したのを一度も聞けなかったのは実に残念だ。
 ただ、この騒動には2つのメリットが認められる。ひとつは言うまでもなく投票率の向上。もうひとつは、「刺客」、別名「落下傘候補」が縁の薄い選挙区で受け入れられ善戦したこと。代議士が地域の利益代表ではなく国民全体の代表であることを意識したわけではなかろうが、少なくとも道路工事を持ってきそうもない候補者が票を集めたことは評価したい。

出発

花火大会の景気良い炸裂音を忌々しく聞きながらノートと試験問題作成に全精力を傾注した週末が終り、ようやく荷作りにかかった。講義に必要な本にノート類、8日分の衣類に日用品を、買ったばかりのキャリーバッグに詰めるうち、もう汗で襟首が重く感じられる。これは明日からの責任の重さの前ぶれか。

バス、飛行機、電車と目をつぶっていても間違いそうもない慣れきったルートを辿り、今回の宿に到着。思いのほか広い。ワイドシングルのベッドはなかなか快適そうだし、なにより窓に向かって机となるスペースが気に入った。パソコンと本とノートと、あれこれ広げても十分に余裕がある。

陣地となる拠点は確保した。周辺の偵察、索敵に行くか。

緊急事態

毎年、母校の夏のスクーリングで非常勤をしているが、今年は担当コマが倍に増えた。師匠が急病で出講できず代講を依頼されたのだ。大恩ある師匠の一大事に否も応もない。とりあえず、本務校から許可を取り、追加分の講義準備にとりかかる。本来の担当予定は「法学(憲法を含む)」で追加分は「法学概論」。受講生の重複も予想されるから、ネタの使いまわしはほぼ絶望。ということは、一からノートを起すのかぁ?。

この夏の暫定目標「消滅しないこと」

これだけは嫌い

基礎法にこだわることでもないが、多くの研究者は「ゲラの校正」という作業が嫌いだと思う。少なくとも私の友人たちは、異口同音にこの作業が嫌いだという。

今日は印刷屋の営業さんが校正を取りに来る。父が具合を悪くして以来殆ど書けなかったから、ひさしぶりの原稿だが、なにせ諸般の事情で執筆期間が10日弱。細かいミスが見つかってゲラはかなり赤い。ひたすら申し訳なく、低姿勢で修正箇所の確認を依頼する。

院生だった頃、ゲラに赤を入れるごとに「申し訳ない」と感じていたことをありありと思い出すが、最近のこの作業はちょっと意味が違う。かつては電算写植から上がって来たゲラの「誤植」を直すことが主眼だったが、データで入稿するようになると、レイアウトなどの訂正以外は、自分のミスを探して直すこと、ようするに元の原稿の不完全さを跡づける作業になってしまった。自分の頭の悪さを追っているようで気分が悪い。

外はかなりの雪。タイヤは既に履き替えた。帰宅は恐いドライブになる。

こんなことがあるのか

新聞によると、妻に無断で離婚届を提出し別の女性と結婚した男が、重婚などの罪で有罪判決を受けた。

ソース

戸籍制度が確立したため、重ねて婚姻しようとしても婚姻届は受理されない。例えば、複数の役場に別々の婚姻届を提出することは可能だが、戸籍の記載を行う段階で、後婚の分はハネられてしまう。従って重婚罪は事実上空文となっていたのだが、まさか公正証書原本等不実記載の罪を犯した上で、この罪をやらかす輩が現われるとは、想像もしなかった。本件では、離婚届が虚偽であり離婚は成立していない。しかし虚偽であることが発覚するまで、男は形式上独身ということになり、次の婚姻届が受理された。

別の女性と結婚するためには妻と離婚しなければならない、という単純な事実のみを知っていた男が、歴史に残る判例を作ってしまったわけだ。

近日中に、暇を見て「最後の重婚罪」について調べてみよう。

「国籍条項」大法廷判決

地方公共団体の管理職登用試験受験資格の、いわゆる「国籍条項」をめぐる初めての最高裁判決が出た。日本国籍保有を一律に受験資格とした都の措置を合憲とする、予想通りの判決であった。争点は、公権力公使の可能性の有無に関らず一律に国籍を条件とすることの可否、そして特別永住者に対しても一般の外国人と同様の条件を課することの可否であるが、最高裁は、後者については特に判断することなく、対人高権の解釈に沿った古典的解釈を打ち出したといえよう。
特別永住者の方々にとっては極めて厳しい判決であり、かつての日本国政府の行動がその遠因であることを併せ考えれば心中複雑であるが、地上に国家間の利害が対立する可能性がある以上、この判決は妥当である。ただ判決は、地方公共団体の裁量権を認める。既に外国人の任用を行っている所も含め、同じ問題に直面する自治体の対応を見守りたい。
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