大雪

大雪(おおゆき)ではない。

今日は二十四節気のひとつ”大雪”。甲府盆地はこの冬一番の冷え込みだったらしい。寒いのはイヤだが、凛とした空気の向こうに富士山がくっきりと見え、その富士に背中を押されるように、今日も出校した。このところ、「研究日」は完全に有名無実化しているが、これも年回りと諦めるしかなさそうだ。

丸一日、学内各所で仕事に追われ、夕暮れ時に外に出ると、朝以上に澄み切った空は、神々しい橙色から群青へと妙なるグラデーションを見せ、その神の業を湛えるキャンバスを、黒々とした稜線が切り裂いている。今夜の寒さを思わせるとはいえ、この空の美しさはなんだろうか。

軽い夕食を済ますと、ものを考える気力もない。見るとはなしにテレビの画面を眺める。どうやら能登の穴水の風景らしい。何度となく足を運び、海の幸に舌鼓を打った美しい街の景色は、テレビの画面で見ても懐かしい。やや重く響く濁音とうねりのようなイントネーションも、不思議と穏やかに耳に染みこむ。

続けて、画面には函館の風景が映っている。このところ妙に惹かれてならない北海道の、まだ歩いたことのない坂と海にしばし見とれていた。

これから新年にかけて、あと四つか五つの山が見えている。いつになったらこの「仕事」の山が消えるのか、想像もつかない。ただ、山の向こうから「書け、締切りは…」という声が聞こえるうちは、穏やかに眠ることも許されそうもない。

この冬、新作のストーブは諦めた方が良さそうだ。

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