珠洲に何が起こったか

またひと月近く放置してしまいました。金沢の卒業式から戻って現任校で卒業生を送り出し、研究室に大型の書架2台を受け入れ、整理も途中で里帰り。彼岸の諸行事に当たりました。

日常的に行き来する親戚と、親戚に準じる付き合いをする家が10軒弱あり、そのうち彼岸のお参りが必要な家が5軒前後あります。お中日には、これらの家の惣領が一斉に相互訪問をするので、妙な「たすぎがけ」が起こったりします。その家の仏壇に線香を焚くという儀式が、円滑な交際を維持する必要条件ですから、喜多方市の、主として北部に散らばる家々を目指してひたすらドライブします。

春まだ浅い会津の山里を訪うて

  山嗤い 人泣き 空の黄色かな

生まれて初めて、猛烈な鼻炎に襲われました。親戚中で一番山の奥にある家には、別件もあって2度行きましたから、思いっきり山に嗤われた気分です。

甲府に戻ると、慌ただしく日程をこなすうちに新学期が始まりました。静かだった春休みが恋しい気もしますが、やはり学生がいて初めて大学といえるでしょう。


昨日あたりから、「アナログ先行停波」の話題を聞くようになりまして、今日、総務省のHPで公式発表を見ました。地デジ完全移行を前に、
事前に小規模なエリアで実際にアナログ放送を終了することにより、アナログ放送終了に当たって生じ得る課題の抽出を行い、2011年の全国一斉終了の際の対策検討に役立てる
ことを目的に停波のリハーサルをするというのです。

世界同時不況で、アメリカでは完全移行を延期することが決まりましたし、対応テレビやチューナーの普及が伸びない我が国でも、延期になるのではないかと思っていたのですが、総務省は当初の計画通りの停波を強行したいようです。停波強行でテレビの需要を作り出し、業界に貢献するつもりなのでしょう。

不景気という『イメージ』を実態の悪化につなげるのは、消費の冷え込みですから、無理矢理にも需要を作るのも意味なしとはしませんが、対象がテレビでは、コストが高すぎるような気がします。ホームセンターで10000円未満で買えるアナログテレビではなく、数万円の国産テレビを買わなければなりません。B-CASという謎の集金団体が極めて不当な制限を実施したため、対応機器を自由に作ることが出来ず、安価な輸入品に頼ることが出来ないのです。選挙が終われば補助金などという話も立ち消えるでしょうから、買い時を量るのも大変です。

そして何より、テレビを楽しみにしている高齢者や子供たちには、停波、移行が分かり難すぎるからくりだということが、どうにもいただけません。

実験場の募集に手を挙げた自治体がいくつかあったといいますが、見返りは何なのか、非常に気になります。能登半島の突端に位置し美しい海に恵まれた珠洲は、その綺麗な名前とは裏腹に、原発を争点とする選挙で市を二分する対立が起こり、明治時代の内務省も泣いて身を引きそうなでたらめなが行われたところです。そして原発誘致に決ったものの、電力会社が計画を撤回してしまい、以来、経済の停滞が著しいと聞いています。何の目算があって、停波の実験に手を挙げたのでしょうか。

私がよく知っている珠洲出身者を思い浮かべてみました。その人物なら、自治体によるあらゆる広報努力にもかかわらず、テレビが映らなくなって初めて、近所の電気屋に電話しそうな気がします。そんなのどかな田舎町で、何が起こったのか、これから起こるのか、注目してみましょう。
calendar
<< 卯月 2009 >>
SunMonTueWedThuFriSat
   1234
567891011
12131415161718
19202122232425
2627282930  
selected entries
categories
archives
recent comments
recent trackbacks
profile
others