2005.10.28 金曜日 23:27
ある差戻審判決
地元の地方紙の求めに応じ、ある刑事事件の判決についてのコメントを述べた。昨年秋に出た最高裁判決に続いて、本件に関して2度目のコメントとなったわけだが、徹頭徹尾、不自然さの拭えない事件であった。
銀行(元)頭取が、信用保証協会役員に免責決定を撤回するよう求め、その結果代位弁済が成された。検察は、協会役員と頭取を信用保証協会に対する背任の共同正犯として起訴し、役員は一審の有罪判決を受け入れ、頭取は最高裁まで争い、破棄差戻を勝ち取った。その差戻控訴審の判決が、今日言い渡された。
大方の予想通り元頭取は無罪だったが、判決は、最高裁が疑義を示した協会役員の免責撤回、代位弁済を、明確に背任と指摘している。一般に背任の立件は難しいとされるが、高裁は背任行為の存在を認めた。が、協会役員らが背任行為を行うきっかけとなった元頭取の行為については、頭取としての正当な行為と認め、共謀の存在を認めなかった。
検察の考えた図式に無理があったということであろうが、それにしても不自然な事件である。銀行の融資、融資先企業の倒産、担保の不備を主たる理由とする免責決定、頭取の要求、免責撤回と代位弁済決定、という流れのいたるところに、消化できない不自然さが見え隠れしている。資料を読めば読むほどわからない。何一つ見えてこない。
後味の悪い事件であった。検察には、より一層の捜査能力向上を期待したい。今回感じた不自然さは、恐らく犯罪かそれに近い何かが隠れているからに違いない。直ちに市民生活を脅かす種類のものではないが、確実に法を破る何かがある、そんな気がする。地道な内定捜査の末にそんな潜在化した犯罪を白日の下に晒し、法の裁きを受けさせることができる機関は、検察しかないのである。
銀行(元)頭取が、信用保証協会役員に免責決定を撤回するよう求め、その結果代位弁済が成された。検察は、協会役員と頭取を信用保証協会に対する背任の共同正犯として起訴し、役員は一審の有罪判決を受け入れ、頭取は最高裁まで争い、破棄差戻を勝ち取った。その差戻控訴審の判決が、今日言い渡された。
大方の予想通り元頭取は無罪だったが、判決は、最高裁が疑義を示した協会役員の免責撤回、代位弁済を、明確に背任と指摘している。一般に背任の立件は難しいとされるが、高裁は背任行為の存在を認めた。が、協会役員らが背任行為を行うきっかけとなった元頭取の行為については、頭取としての正当な行為と認め、共謀の存在を認めなかった。
検察の考えた図式に無理があったということであろうが、それにしても不自然な事件である。銀行の融資、融資先企業の倒産、担保の不備を主たる理由とする免責決定、頭取の要求、免責撤回と代位弁済決定、という流れのいたるところに、消化できない不自然さが見え隠れしている。資料を読めば読むほどわからない。何一つ見えてこない。
後味の悪い事件であった。検察には、より一層の捜査能力向上を期待したい。今回感じた不自然さは、恐らく犯罪かそれに近い何かが隠れているからに違いない。直ちに市民生活を脅かす種類のものではないが、確実に法を破る何かがある、そんな気がする。地道な内定捜査の末にそんな潜在化した犯罪を白日の下に晒し、法の裁きを受けさせることができる機関は、検察しかないのである。
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